スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ラムズフェルド長官になぞって

Muchmore SW, Edmunds JJ, Stewart KD, Hajduk PJ. Cheminformatic Tools for Medicinal Chemists. Journal of medicinal chemistry. 2010.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20329801.

アボットのハジャックらがケモインフォマティクスをレビュー。ケモインフォマティックスの発展とは裏腹に新薬創出の生産性は未だに改善してない。この事を、2002年米国防長官ドナルド・ラムズフェルドの発言で「何を言ってるかわからない賞」を受賞した「The Known Knowns, the Known Unknowns, the Unknown Knowns, and the Unknown Unknowns」に掛けて、4つのカテゴリーに分類して考える。これにより、我々が知っている事のみならず、何が知らないのか、その知らないものは量的なのか質的なのか、シンプルに解析できるのか、複雑な系なのかを考察する。
Table 1→アボットで利用してるインフォマティックスツール(パイプラインパイロット、パイモル、リードホッパー、ドラッググルなど)

◯Known Knowns
我々がどのように“知る事”を知れるか、ケモインフォマティクスでは、分子量、リガンド効率、部分構造検索がそれに相当する。分子量と原子数という観点では、ヒットトゥリードの経験則において、経口吸収性(リピンスキー、ベーベルルール、黄金の三角地帯)、毒性(LLE指標、clogPとPSA指標)、膜透過性、BBB、開発化合物(芳香環枚数)(Table 2)で示されるが、リピンスキールールに代表されるように分子量が指標になっている。また、リガンド効率はアンドリューホプキンスによって定義されたLEは最も汎用性の高い指標で、「Known Knowns」の代表例といえる。部分構造検索も実効性あるが、時間がかかる割には、数も掃けずにアルゴリズム依存性がある(Fig. 1)。

◯Unknown Knowns
「知っている事でも、知ろうとしない、もしくは意図的に知る事を拒否する」事例。脂溶性、logP, logDは物性、薬物動態、膜透過性、毒性予測の重要なパラメーター(Table 2)でありシンプルに計算できるが、計算法によっての誤差、実測logDとの乖離は無視できない。溶解度も同様に重要なドラッガビリティパラメーターで融点と脂溶性から溶解度予測式が提案。しかし、こちらも実測との乖離が大きく、イオン化状態によって予測の精度は変化し、置換基一つでドラスティックに変化する場合もある。タンパク結合率の予測は困難で、一般的には脂溶性の高いカルボン酸化合物はアルブミンに結合しやすく、塩基性基の導入による脂溶性の低下がアプローチの一つとして知られている程度である。アボットではアイソスターツールのドラッググルを利用しているが、実際にタンパク結合率を合理的に制御するのは困難である。薬物動態予測に至っては、数々の予測法が提案されているが精度に欠けるものがほとんど。冷笑的には、改善する為に脂溶性を下げて膜透過性も落ちて血中暴露量が下がるという事が言われている程度。薬物動態には多様なパラメーターが複雑に絡んでおり、単純には説明しきれない。

◯Known Unknowns
「可能な限り知ろうとしている状況、だが、それらが実在するか否かは分からない」事例。PSAは膜透過性の指標とされ、脳内移行性獲得には<70Å2が求められるが、同時に<75Å2で毒性リスクが高まると提唱されている。PSAは溶解度や脂溶性のように実測値がない為に真に確かな値を決定できない為にこのカテゴリーに属する。しかし、ドラッガビリティと非常に高い相関があるパラメーターであるのも事実である。ケミカルシミラリティもTable 3のようにいくつかのプログラムが存在するが同様にこの範疇にある。タニモト係数の閾値をどこに設定するか、複数のシミラリティをどのように相補的に関連づけるかの2段階でアウトプットは変化する。ツールの一つにリードホッパーがウェッブ上で利用可能。3次元重ね合わせでは真の正しい構造は永久に分からないが、この場合は正しいかどうかよりも、使い物になるかどうかが鍵になる。バイオアイソスターはあるパラメーターを変化させずに別のパラメーターを改善する変換であるが、これも真に求められる構造が分かる事はない。ちなみに、ドラッググルには250種類以上の変換法によって自動的に変換できる。SBDDで得られる結晶情報も、真の結合状態が得られる事はない。

◯Unknown Unknowns
「ある時点では傍観者が思いつく事のな状況」の事例。といっても、これは議論のしようがない空白領域。ここではケモインフォマティクスの「将来の夢」と考え、その一つとして計算化学の大きなカテゴリーとして、大規模バーチャルスクリーニングとリガンド結合エネルギーの計算がある。また、もう一つの大きなカテゴリーは、システム生物学やポリファーマコロジー分野である。既に、ファイザーのアンドリューホプキンスやショイチェットらによってターゲットタンパク全体に対する生理活性とSARに理解が及んでいる事例がある。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。