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中枢薬ドラッグスペース解析

Wager TT, Chandrasekaran RY, Hou X, et al. Defining Desirable Central Nervous System Drug Space through the Alignment of Molecular Properties, in Vitro ADME, and Safety Attributes. ACS Chemical Neuroscience. 2010;1(6):420-434. Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/cn100007x.


119種類の中枢性医薬品と108個のファイザーの前臨床中枢性化合物をプロファイリングし、中枢薬に求められる物性パラメーターを提案している。


<物性値>
ClogP、clogD、分子量、極性表面積、水素結合ドナー、塩基性ともに中間値は算出可能であるが、化合物は非常にブロードに分布している点が特徴である(Fig. 1)。ただ、塩基性pKaに関しては、塩基性が強いとhERGやフォスフォリピドーシスの原因となる為か、pKa>10の化合物はせいぜい10%で、pKa<7.4の弱塩基性化合物が多い。

<ADME>
中枢移行性に重要なPgp基質になるかどうかは昔の医薬品は調査されていないので、これをファイザーで検証したところがエラい。Fig. 2にあるように旧来の医薬品は膜透過性に優れPgp基質の懸念の低いものが70%と圧倒的に優れており、対する前臨床化合物はせいぜい40%程度。代謝安定性に関しては、体重70 kgの人に対して1日1回投薬を想定して式(3)で算出される求められる代謝安定性は<100 mL/(min. kg)、Fig 3.の通り、医薬品の71%がこれを満たし、一方で前臨床品は48%にとどまる。ただし、重要な事は医薬品の29%はクリアランスが高い事である。これは代謝安定性の低さを別の要素で補っているためであり、たとえばパロキセチンの場合、クリアランスは高いが活性は0.04 nMと非常に高く、腸管での効果的な吸収性が10-40 mgの低容量を実現している。このような事例のように、クリアランスのみを唯一のエンドポイントに設定し、別の要素を考慮しないと有望な開発品を選び損なってしまう事を忘れてはならない。

医薬品は総じて前臨床化合物に比べて各種パラメーターに優れている。成功確率という点では、膜透過性、Pgp基質リスク、代謝安定性の全てを満たす事が最良であり、それ以外はリスクが高まる事が理解できる(Fig. 4)。

<LE, LLE, LELP>
中枢薬、前臨床品をドラッガブル指標で解析(Fig. 5)。ここでも非常にブロードに化合物は分布し、医薬品は前臨床品より優れている。活性と脂溶性を上げる方針はLE, LLEを改善させるが結果的にADMEプロファイルを損なう結果になるリスクがあり、一方で唯一サイズと脂溶性の両方の効率を合わせ持つ指標LELPが最適化の際の有効な指標になりうる、としている。Fig. 6にLE, LLEで化合物の分布を表示しているが、右上領域がLE, LLE共に優れる化合物群で、そこに含まれるのは、バレニクリン(α4β2部分作動薬、禁煙補助薬)、アンフェタミン、プレギャバリン、プラミペキソール、ニコチン、ガバペンチンが含まれる。

<安全性>
CYP2D6, 3A4はFig. 7でいづれも80%以上の化合物は低リスク、hERG 阻害をさらにclogPで分類してみると、clogP=3を境界領域にそのリスクはテキメンに異なる(Fig. 8)。さらに塩基性と脂溶性の両方で比較すると、脂溶性と塩基性の高い化合物はhERG阻害が非常に強い(Fig. 9)。細胞障害性についても脂溶性との明確な相関が確認できる(FIg. 10, 11)。DDI, 細胞障害性、hERGの4つの課題のクリアしている数に応じて確率が向上(Fig. 12)。


各種パラメーターをまとめたものがFig. 14。ちょっとパラメーターが多いので使い勝手は今ひとつかもしれないが、相変わらずファイザーのデーママイニング力、データの解析能力には圧巻。感覚的に感じている事を「見える化」して表示しているので納得感が得られる。ただ、Fig. 14には全体の解析結果の平均値を出しているが、化合物の分布は非常に大きく、ケースバイケースで判断する事を忘れてはならない。また、昔の医薬品は必ずしも今の審査当局の基準を満たすものではない(今ならドロップするかも)、評価系は時代依存的で、前述のギャバペンチンなどは元はターゲット不明で見出された医薬品、今では開発困難なイオンチャンネルや比較的低分子リガンド探索が可能なモノアミン系が昔の医薬品には含まれるので、必ずしも現行テーマに外挿性があるとは思えないので、あまり囚われるのはよくないかも。

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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