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ギャバペンチン誘導体探索の困難さ

Wustrow DJ, Belliotti TR, Capiris T, et al. Oxadiazolone bioisosteres of pregabalin and gabapentin. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(1):247-50.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19010672.

ターゲット不明でフォーワードファーマコロジー的に見いだされたのがギャバペンチンである。もともと、ギャバペンチンはメカニズム不明だが、癲癇、鬱、不安、疼痛に薬効がある、いわゆる「ギャバ様の作用で何にでも効く」と言われている薬である。メカニズム不明だが非常に有益な作用がある事は、メカニズム不明テーマの魅力と推進力の根拠にもなるだろう。ギャバペンチンは元々は脂溶性のGABA誘導体として合成され、実際にGABA様の作用を有してた。ところが、予想外にもギャバペンチンには、GABA受容体、取込み酵素にも作用せず、マルチターゲットに作用しており、特にカルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合する事が判明し、これが主作用の薬効を示すメカニズムと考えられ、SARの取得が試みられた。しかしながら、ギャバペンチンケミストリーにSARはほとんどない。

ギャバペンチンの黎明期の研究は、The practice of medicinal chemistry 3edの16章にも紹介されている、コンフォメーション固定化によるファーマコフォアの同定であった。ギャバペンチンの疑問は、シクロヘキサンの4級炭素につくアミノメチル基と酢酸のどちらがアキシャル、エクアトリアルをとっているのか、そしてその配向は伸張したタイプか、折り畳まれた構造をしているのか?である。しかし、わずかな構造変換は活性の消失につながってしまう。ギャバペンチンは小さくシンプルな分子でドラスティックな変換が出来ず、逆に制限されたケミカルスペースの中で高度な合成力を発揮する必要がある。また、ギャバペンチンの脳内移行性はアクティブトランスポーターLSTに由来するので、その基質にならないと作用を示さなくなってしまう。この報告は、ギャバペンチン、さらにそのポスト薬剤であるプレギャバリンのバックアップ研究である。


http://dx.doi.org/10.1016/B978-0-12-374194-3.00016-0

この報告では、カルボン酸をアイソスターのオキサジアゾロンに変換してSARを検証している。プレギャバリンはオキサジアゾロンに変換すると活性は減弱するが、ギャバペンチンでは、テトラゾール、または、オキサジアゾロンにしたPD200347で活性は保持された。しかし、ギャバペンチン、プレギャバリンがLアミノ酸アクティブトランスポーターLSTの基質となって中枢に取込まれるのに対して、これらアイソスターに変換した化合物は、LSTの基質とならず、中枢移行性は低かった。また、親水性が高く、蛋白結合のフリー体分率は90%以上と高かった。クリアランスが高いのは化合物原体が腎排泄を受けているためと推定され、シメチジンやプロベネシドと共に投与させる事でクリアランスが減弱した事から、腎排泄に寄与するOAT, OCTトランスポーターの基質となっている事が示唆された。

ここで示されるように、ギャバペンチンの難しさはSARの確保だけでなく、トランスポーター親和性や代謝排泄経路の影響まで考慮しなくてはならない事が上げられる。元々は、その昔、フォワードファーマコロジー的に偶然見いだされた薬剤だが、この奇跡的偶然の産物の性質を、合理的にマニピュレートしようとする事が如何に難しいかが、その後の研究を見ているとよく伝わってくる。

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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