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メチル基一つに工夫あり

Blakemore DC, Bryans JS, Carnell P, et al. Synthesis and in vivo evaluation of 3,4-disubstituted gababutins. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2010;20(1):248-51.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19910190.


ターゲット不明でフォーワードファーマコロジー的に見いだされたのがギャバペンチンである。もともと、ギャバペンチンはメカニズム不明だが、癲癇、鬱、不安、疼痛に薬効がある、いわゆる「ギャバ様の作用で何にでも効く」と言われている薬である。メカニズム不明だが非常に有益な作用がある事は、メカニズム不明テーマの魅力と推進力の根拠にもなるだろう。ギャバペンチンは元々は脂溶性のGABA誘導体として合成され、実際にGABA様の作用を有してた。ところが、予想外にもギャバペンチンには、GABA受容体、取込み酵素にも作用せず、マルチターゲットに作用しており、特にカルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合する事が判明し、これが主作用の薬効を示すメカニズムと考えられ、SARの取得が試みられた。しかしながら、ギャバペンチンケミストリーにSARはほとんどない。

ギャバペンチンの黎明期の研究は、The practice of medicinal chemistry 3edの16章にも紹介されている、コンフォメーション固定化によるファーマコフォアの同定であった。ギャバペンチンの疑問は、シクロヘキサンの4級炭素につくアミノメチル基と酢酸のどちらがアキシャル、エクアトリアルをとっているのか、そしてその配向は伸張したタイプか、折り畳まれた構造をしているのか?である。しかし、わずかな構造変換は活性の消失につながってしまう。ギャバペンチンは小さくシンプルな分子でドラスティックな変換が出来ず、逆に制限されたケミカルスペースの中で高度な合成力を発揮する必要がある。また、ギャバペンチンの脳内移行性はアクティブトランスポーターLSTに由来するので、その基質にならないと作用を示さなくなってしまう。この報告は、ギャバペンチン、さらにそのポスト薬剤であるプレギャバリンのバックアップ研究である。


http://dx.doi.org/10.1016/B978-0-12-374194-3.00016-0

SARの極めてタイトなギャバペンチン系化合物において、3位に加えて4位にもメチル基を導入してその活性を確認。ここで鍵になるのは合成面で、トランスジメチル体ではシクロペンタノンの光学活性体を合成する必要があるが、メチルアミノ基を含む4級化の工程は、どちらの立体で置換基が入っても同一の立体構造となるので気にする必要がない。一方でシスジメチル体はシクロペンタノンはメソ体であるが、4級化の段階で光学活性体となるので立体制御が必要となる。

Scheme 1:ジメチルシクロペンタノンの立体は、ディールズアルダーで組むところが鍵になっている。フマールクロリドに不斉補助基のメントールを作用させ、ブタジエンと4塩化チタンを用いてディールズアルダー反応でシクロヘキセン(7)へ。立体選択性向上の為により低温で反応させようとしても溶解性の問題でうまくいかないので、光学純度は再結晶精製により向上させた。メントールエステルをLAH還元し、得られたジオール(8)をメシル化後にLAH還元でメシル基を除去して揮発性のジメチルシクロヘキセン(10)を得る。過マンガン酸カリウムを用いて2層系条件でオレフィンを酸化的開裂、得られたジカルボン酸(11)をエステル化後、ディックマン縮合で閉環、脱炭酸して目的の(14)を得る。

Scheme 2: 別法。アセトキシシクロペンテノンにアルキルジンクで1,4付加後、アセトキシ基除去、再び1,4付加でトランスジアルキル体(17)を得る。

Scheme 4,5: シスシクロペンタノンの4級炭素構築。ホーナーエモンズとニトロメタンの付加との組み合わせで(31)の立体が得られる。一方で逆の立体の(28)はニトロアルケン(25)に酢酸エチルを作用させるという共役付加の基質を逆にする事で構築。ケトンにニトロメタンのジアニオンを作用させ、アルコールはアセチル化の後に塩基で脱離させて(25)としている。

薬理活性はトランス体がカルシウムチャンネルα2δに対する活性が強くジメチルで十分でメチルをプロピルにしてもベネフィットはない。インビボは鬱、疼痛モデル両方でプレギャバリンと同等の薬効量で活性を示し、かつ鎮静の副作用がないのが大きなメリット。ラットPKプロファイルはBA87%と高く、クリアランスは低いがショートアクティング。ツビッターイオン構造でlogDが-1.0と非常に脂溶性が低い事から、推定される動態メカニズムは、プレギャバリン同様に腸管のアクティブトランスポーターで取り込まれ、肝代謝は受けにくい、と考えられる。脂溶性の低さから化合物原体が糸球体ろ過によって腎排泄され、尿細管からの再吸収もないのがショートアクティングなプロファイルに効いており、薬物の即効性と切れの良さという理想的プロファイルにつながっているとしている。
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テーマ : 科学・医療・心理
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