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副作用をマイニングして主作用を探索

Campillos M, Kuhn M, Gavin A-C, Jensen LJ, Bork P. Drug target identification using side-effect similarity. Science (New York, N.Y.). 2008;321(5886):263-6.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18621671.


746種類の市販薬は主作用以外に1018種類のサイドエフェクト(弱い作用、副作用)を有している。これらの市販薬が作用しているオフターゲットに対してデータマイニングし、そのサイドエフェクトの原因を特定する事で、新たな創薬ターゲットを導き出すという手法を報告している。この手法の特徴は、データマイニングする際に、構造的に類似性の高い化合物の組み合わせや、類似の薬理作用、ターゲットの組み合わせを排除し、化学構造的にも薬理作用的にも異なる組み合わせから、共通のサイドエフェクトとその原因となるオフターゲットを見いだ す事で、未知の創薬ターゲットを発掘できる点にある。

データマイニングの結果、化学的にも薬理作用としても異なる医薬品が、共通のオフターゲットに作用している組み合わせは754組存在し、同条件の医薬品が共通のサイドエフェクトを示す組み合わせは261組存在した。これらのネットワークを見ると、消化器系のプロトンポンプ阻害薬ラベプラゾールは、ペルゴリド、パロキセチン、フルオキセチンなど5つの中枢薬と共通のサイドエフェクトを示し、それはラベプラゾールがドーパミン受容体やセロトニン受容体に作用している事が原因と考える事ができる。また、ネットワーク図から異なる疾患への展開も可能となる。たとえば、認知機能改善薬のドネペジルと抗鬱薬ベンラファキンとの間には相関があり、実際にドネペジルが抗鬱薬として開発されようとした事実もある。


関連性のない医薬品の副作用から、共通のオフターゲットが見いだされた例として有名なのは、シサプリドとアステミゾールに循環器系の毒性があり、これがhERGカリウムチャネル阻害の発見で明らかとされた事例がある。望まれない副作用が時として有益な作用へと転換され画期的な新薬へとつながった例として、ファイザーの勃起不全治療薬のバイアグラ(PDE5阻害薬)が知られている。既に上市された医薬品の弱い作用を主作用に変換する手法の有用性は、ラニチジンやプロプラノロールの論理的薬物設計でノーベル賞を受賞したGSKのジェームスブラックによって提唱され、メディシナルケミストリーの創始者的存在であるカミルウェルムースによってSOSA (Selective Optimization of Side Activity)として体系化され、実際にサノフィからアミノピリダジンケミストリーに集中した数々の中枢薬が展開された。考え方そのものは、このように古くからあるが、データマイニングを使う事で思いがけないオフターゲットを創薬ターゲットとして発掘できる点が魅力的である。この手法は、ヒトでの作用が明快である点で究極のフォワードファーマコロジーと言える。

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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