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マラリア治療薬メフロキンの副作用を主作用に変換し、構造最適化

Gillespie RJ, Bamford SJ, Gaur S, et al. Antagonists of the human A(2A) receptor. Part 5: Highly bio-available pyrimidine-4-carboxamides. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(10):2664–7.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19362836

パーキンソン病治療薬のゴールド・スタンダードはレボドパやドーパミン作動薬が主流であるが、飽くまで対処療法で副作用も強く、アンメット・メディカル・ニーズの一つである。このような背景からメカニズムの異なる新規作用機序の治療薬の開発が求められてきた。その一つがアデノシンA2A受容体拮抗薬で、第一世代として協和発酵のキサンチン系化合物KW-6002の開発が進行していたが、臨床試験3つのうち2つでエンドポイントを満たさなかった。その原因の一つは、化合物特異的な代謝と推定され、第二世代としてシェーリングの非キサンチン系化合物SCH58261などの開発が進んでいる。既にアデノシン受容体の結晶構造が解かれているが、未だに選択性獲得のデザインにまでは活かされていない。一方で、ベルナリスの研究者のアプローチは、抗マラリア薬であるキノリン系化合物メフロキンが神経精神異常を副作用として示す事に着目、その原因を調べるべくオフターゲット81種類をアッセイしたところ、アデノシンにのみ強力な活性を示した事から、フォワードファーマコロジー的にスタートするというものであった。最適化の結果、選択的アデノシン拮抗薬V2006/BIIB-014を見出してフェーズ2開発を行っている。ここで報告されているバックアップ研究は、母核の変換にいくつか面白い点がある。当初合成をしようとした二環性トリアゾロピリミジン6は合成的に問題があったが、その中間体である単環のニトロピリミジンアミド4に活性がある事を確認した。2環から単環に低分子化した為にそのリガンド効率は0.37-0.39と優れていた。ベルナリスの研究者は、ニトロ基とアミドのNHの分子内水素結合による「シュード・リング」を形成、これがトリアゾロピリミジンのトリアゾロ環をミミックしていると考えた。この仮説の元に、π性を損なわなず、ニトロ基による電子欠損性を保持して動態面をケアする変換として、ニトロ基を除去してアミドをリバースアミドにした。結果として、活性は向上、リガンド効率は0.47にまで改善した。物性改善を指向して、活性が落ちない位置にヘテロ原子を導入する方法としてベンゼン環を種々のヘテロ環に変換した結果、1.7nMの強力な活性を示し、溶解度が向上、サブタイプ選択性も良好で、CYP阻害に問題がなく、0.3 mg / kgから薬効を示したピリジンを有する化合物37を見出した。
ベルナリスの一連の研究で鍵になっているのは、

1)既存薬をリードに、オフターゲットであったヒトでの副作用を主作用に変換する方針をとった。
2)合成中間体に活性があるというセレンディピティを見逃さなかった。
3)そこから新たな作業仮説を立てて、さらなる構造変換へと進展させた。

リードの質の向上という点に目を向ければ、このような既にヒトでの薬効の切れ味と動態が既知の既存薬からスタートするのは一つの有望な方法である(SOSA)。
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