スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

共通の内因性リガンドに着目、CB1拮抗薬からFAAH阻害薬を引き出す

Hart T, Macias AT, Benwell K, et al. Fatty acid amide hydrolase inhibitors. Surprising selectivity of chiral azetidine ureas. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(15):4241–4.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19515560

この報告ではベルナリスらしいヒット同定法が注目される。FAAH阻害薬は疼痛、不安、鬱を標的疾患に出来る可能性があり、サノフィのSSR411298がフェーズ2、ファイザーのPF-4457845がフェーズ1に進んだ。これまで報告された阻害薬は、ファイザーのPF-622, PF-750, J&JのJNJ-1661010のウレア系化合物、もしくはURB597やSA-47のようなカーバメート系化合物で、ウレア及びカーバメートが起点となってFAAHの活性中心、Ser-241と時間依存的共有結合を形成する共有結合モディフィアの阻害形式である。ベルナリスの研究者は、FAAHの内因性基質であるアナンナミドがCB1受容体のアゴニスト作用を示す事に着目し、ベルナリスで実績のあるCB1受容体拮抗薬の中から共有結合モディフィアになりうるウレア化合物を集めてダイレクト・スクリーニングを展開、アゼチジン系化合物VER-24052をフィッシングする事に成功した。このCB1とFAAHのデュアル作用薬のリード化合物は、その光学活性体VER-156085でCB1に10 nM以下の強力な阻害活性を示す一方でFAAHには10μM以下の弱い活性しか示さず、もう一つの光学活性体VER-150684はFAAHにサブマイクロオーダーの活性を示し、CB1に対しては560nMとディストマーに相当した。ただ、この化合物はFAAH阻害にヒトとラットで種差がある。VER-156084と既知リガンドJNJ-1661010とPF-750およびFAAHとのドッキングを検証し、ACBチャンネルの残基の性質上から種差を説明でき、種差のない強力かつ選択的でインビボで優れた活性を示すFAAH阻害薬を今後報告する、としている。

ベルナリスは一昨日に紹介したように、アデノシンA2A拮抗薬のリード創出において、抗マラリア薬であるキノリン系化合物メフロキンが神経精神異常を副作用として示す事に着目してそれがアデノシンに由来する事を見いだしフォワードファーマコロジー的にスタートするという手法を示した。ここでも、FAAHとCB1とが内因性リガンドを共有する事に着目したダイレクト・スクリーニングを行い、リード創出にアイデアが盛り込まれている。決して全ライブラリー化合物を絨毯爆撃スクリーニングしていない点でバイオベンチャーならではの無駄を省いたスマートさが垣間みれる。また、ベルナリスのCB1拮抗薬には興味深いエピソードが潜んでいる。当初、先行していたCB1逆作動薬のファースト・イン・クラスであるサノフィのリモナバントやファースト・フォローのメルクのタラナバント、ファイザーのスリナバントは中枢性副作用のクラスエフェクトの為に開発は中止された。一方で2006年から臨床開発を開始したベルナリスのV24343は、抹消性CB1受容体拮抗薬であり、中枢移行性を抑制する事でリモナバントの副作用を大きく軽減、強力な薬効を確認した、との報告がされている。副作用の軽減には、組織分布のみならず、先行品が逆作動薬であるのに対して、V24343はニュートラルな拮抗薬で本来備わっているコンスティテューティブ・アクティブなシグナルを切断しない事が一役買っているとされている。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。