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オーロラキナーゼ阻害薬AT9283:FBDD&キナーゼ阻害薬デザインの知識を活用

Howard S, Berdini V, Boulstridge JA, et al. Fragment-based discovery of the pyrazol-4-yl urea (AT9283), a multitargeted kinase inhibitor with potent aurora kinase activity. Journal of medicinal chemistry. 2009;52(2):379–88.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19143567


FBDDの草分け的存在のアステックス社によるオーロラ・キナーゼ阻害薬AT9283の創製。オーロラ・キナーゼはMK-0457、PHA739358が先行する中、アステックス社はFBDDによって臨床開発化合物を見出した。CDK阻害薬ではATP結合サイトにピラゾールを有しており、オーロラ・キナーゼでもこのピラゾールを利用するのであるが、ヒンジ領域のクレフトにオーロラAとCDK2で大きな違いがある事に着目し、オーロラに最適な脂溶性芳香族環のベンズイミダゾールを側鎖に持つフラグメント5によって、CDK2の活性を低減、オーロラに対してリガンド効率0.59の高い選択性を持つ化合物から出発する事が可能となった。ピラゾール側鎖にフェニルアミドを伸張すると活性は向上したが、細胞系での活性は弱まってしまう。この問題解決の為に、塩基性置換基を導入する事でキナーゼの細胞系活性を向上させる事が出来るとのナレッジを利用した。一方で、既に水素結合ドナーが3つある事から、さらにアミンを導入すれば膜透過性が低下、動態面に悪影響する事が懸念される。そこで、pKaを低下させて水素結合性を落としたモルホリンを導入した。結果として望みどおり、細胞系の活性が向上、マウス経口吸収性も26%と良好な結果が得られた。しかし、蛋白結合率が高い事がさらなる問題として浮上した。X線結晶構造からフェニルアミド部分に変換の余地がある事から、ウレアへと展開、さらにテトラヒドロピランやピリジン、シクロヘキサンと多様性ある置換基に変換できる事を確認、最終的にシクロプロピルウレアでイン・ビトロ測定限界の最強の活性となった。ウレアへの変換によって問題となっていた蛋白結合率が低下、さらにシクロプロピルへと変換する事で低分子化にも成功し、結果として、良好な薬物動態とインビボ活性を示している。シクロプロピルウレアのような小さな置換基で強力な活性を示した原因は注目に値する。蛋白との結晶構造では、ウレア部分がシス/トランスのホールディングした構造をとっており、これは化合物単独のX線と溶液中のNMRでも確認された。当初のフラグメントの側鎖ベンズイミダゾールは抗癌作用が期待されるJAK2やFlt-3, Ablのヒンジ領域の溝にもフィットし、これらのキナーゼに対しても強力な活性を示し、マルチキナーゼ阻害薬として機能している。Ablキナーゼ阻害薬のイマチニブと異なりゲートキーパーの阻害に関与していない事で、マルチファンクショナルなプロファイルを獲得できたと考えられる。ここで見出したAT9283を臨床開発化合物に選定した。
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