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創薬における光学活性体の性質を理解する

Wermuth CG. Chapter 26.pdf. Elsevier; 2008:533–548.
Available at: http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B8KS4-4SW8G41-W&_rdoc=3&_hierId=35951000006&_refWorkId=4455&_explode=35951000006&_fmt=high&_orig=na&_docanchor=&_idxType=TC&view=c&_ct=7&_acct=C000012498&_version=1&_urlVersion=0&_userid=2645672&md5=6bda951ad0f5d1415e9d6832ea02627b

the practice of medicinal chemistryの26章より、光学活性体の性質について包括的に学びたければ、これを参考にする事をお勧め。メディシナルケミストリーの創始者的存在であるカミルウェルムースが自ら執筆している。ドラッグデザインの根本的考え方、「3点認識」が、イーソン、ステッドマンが提唱した光学活性体アドレナリンの受容体認識に起源を持つ事、光学活性体の活性比率を示すユーディスミック指数、ファイファー則、不斉炭素除去のデザイン、光学活性体で作用、動態、毒性が異なる事例まで、普段から見聞きしている事が体系的にまとめられている。例外的な事例には、ユーディスミック比が2を超える場合、ディストマーがユートマーの拮抗薬として作用するものが興味深い。NSAIDのCOX阻害薬イブプロフェンは、ディストマーも生体内でイソメラーゼによってユートマーに変換されるので、ラセミ体として利用されている。光学活性種は、トランスポーターの取込み、代謝速度にも差がある。ラセミ体で開発する事は、ディストマーの副作用や代謝物毒性までケアする必要があり、通常はベネフィットが考えられない。しかし、リリー社のピセナドール(LY150720)は、ユートマーがオピオイド受容体作動薬と機能する一方でディストマーは拮抗作用があり、このラセミ体ではパーシャル作動薬的に作用して利用されている、という驚きの事例も紹介されている。ラセミ体が有用に機能した例として、アスピリンがラセミ体のリジンと結晶を作って、化合物安定性や水溶性が向上し、静注としても利用できるようになったが、光学活性体のリジンでは結晶を作らないというケースがある。最後に書かれている運とセレンディピティーのアスピリン結晶発見物語は、ジャーナルではなかなかお目にかかれない内容である。「It is easier to put a pair of shoes into a box than two left shoes (or two right ones)」、光学活性体の結晶性の性質を良く表した言葉だが、結晶化検討を行う際にヒントになるかもしれない。
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