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エキゾチックな変換、創薬におけるマイナーメタロイド

Ciapetti P, Giethlen B, Metalloids-toxic VIM. Molecular Variations Based on Isosteric Replacements.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780123741943000159

the practice of medicinal chemistryより、この章では「エキゾチック」な変換、すなわち、普通ではない「シリコン」「ボロン」「セレン」「ヒ素」「アンチモン」について述べられている。

A. 炭素ーケイ素アイソスター
炭素ケイ素の変換はエレンマイヤーのアイソスターの定義の拡張とみなす事ができる。薬理作用の改善や強力な特許上のIPスペース獲得に利用が可能。ケイ素は炭素や酸素、窒素に比べて電気的陽性が強い。炭素ーケイ素結合はsp3混成軌道をとり、炭素ー炭素結合に比べて20%長い。シラノールはカルビノールより酸性度が高い。よって、水素結合増強に機能するアイソスターになりうる。ケトンは安定だがSi=Oは不安定で容易にシリコンジオールとなる。具体例にジフロシロン(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬)、シラメプロバメート(抗鬱薬)、RP71602(セロトニン2A拮抗薬)、スクアレンエポキシダーゼ阻害薬、p38、HIVプロテアーゼ、ACE阻害薬など。代謝に強い。加水分解や求核反応を受けやすいのでSi-Cl結合などは注意。

B. 炭素ーホウ素アイソスター
ホウ素は主にスズキカップリングの反応点として利用。医薬品ではほう素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT:ホウ素化合物をあらかじめ投与しておき、腫瘍にホウ素が集まったときに 熱中性子線を照射する事でほう素化合物をほとんど取り込まない正常細胞はあまり大きなダメージを受けないが、 ホウ素を取り込んだ腫瘍細胞では細胞内部でホウ素と熱中性子の核反応が生じ、核反応により発生 したアルファ線と7Li粒子が腫瘍細胞のみ破壊。大きな利点は、アルファ線も7Li粒子も およそ10ミクロンしか飛ばないため、正常細胞を傷つけることなく腫瘍細胞のみが選択的に治療できる)で利用されている。ホウ酸はジオール、ジフェノールとエステル化を形成して、これが作用点となる事で薬効を発現する化合物がメディシナルでは知られている。ホウ素の入った医薬品としてキモトリプシン、エラスターゼ阻害薬、プロテオソーム阻害薬ベルケイドが知られている。有機ボランは有機シリコンより容易に加水分解を受け、ホウ酸を生成する。ホウ酸は鳥で催奇形性が認められている。また、リボフラビン(ビタミンB2)欠損による奇形が認められ、リボフラビンを投薬する事でこの副作用を軽減できる。ヒトでホウ素誘導体を慢性的に利用すると、ドライスキン、皮膚発疹、胃病といったボリズムを起こすので注意が必要。

C. セレン
セレンは硫黄のアイソスターと見なせる。周期表の同族元素であり、硫黄より12.5%大きく、電気陰性度はほぼ同じ。強力な毒性を示す元素であり、唯一、セレノエンザイムグルタチオンペルオキシダーゼを阻害して抗酸化作用、抗炎症作用を示すエブセレンが候補化合物として知られている。
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