スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

フェーズ2をクリアする質の高い創薬ターゲットをあぶり出す為のチェックリストと3本の矢

Gashaw I, Ellinghaus P, Sommer A, Asadullah K. What makes a good drug target? Drug discovery today. 2011;16(23-24):1037–43.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1359644611002972


Morgan P, Graaf PH Van Der, Arrowsmith J, et al. Can the flow of medicines be improved? Fundamental pharmacokinetic and pharmacological principles toward improving Phase II survival. Drug discovery today. 2012;17(9-10):419–24.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22227532

 フェーズ2成功確率は2006ー2007年の28%から2008-2009年の18%に低下しており、その要因の半分は不十分な薬効であった。さらにフェーズ3の3分の2が薬効不足で中断している。優れたターゲットを同定し、ビトロとビボでの薬効を予測する事がますます重要と考えられ始めた。バイエルでは「グランツ4ターゲット」イニシアティブを2009年に立ち上げた。この活動の根本のアイデアは、アカデミアの創薬ターゲットの評価と検証をサポートする為に助成金と創薬ノウハウを提供する事にある。この活動の中で多くの興味深い新規ターゲットについて提案を受けたが、未だに良いターゲットの鍵になる性質が何なのかの議論は不十分であった。したがって、創薬ターゲットの良し悪しを判断する為に、ドラッガビリティやアッセイアビリティといった側面からチェックリストを作成し、判断する事によって整流化する事の重要性を認識した。Box1がそのチェックリストである。

<チェックリスト:理想的な創薬ターゲットの性質>
・根本治療もしくは病態の改善しうるターゲット
・他の疾患では大きな影響を及ぼさない
・仮にターゲットのドラッガビリティが不明の場合、ターゲットタンパクの3次元構造もしくはホモロジー構造からのドラッガビリティを評価
・HTSを行えるアッセイアビリティ
・ターゲットは全身分布していない
・薬効を追跡できるバイオマーカーの存在
・フェノタイプによって潜在的な副作用の予測可能性
・特許状況が厳しくない


<ターゲット定義とターゲット・クラス>
2006年にドラッグターゲットとして324種類が提案され、バイオインフォマティクスによって3573種類のノンドラッグターゲットから668タンパクがターゲットライクな性質を持つものとして同定された。現在では、大まかにTable 1のように分類されている。


<ターゲット評価>
バイエルではFig. 1による評価シートに基づいて判断する。
・unmet疾患
・ターゲットの同定
・ターゲット評価(実験的ターゲット評価:ビトロ、ビボ、siRNA, 過剰発現細胞、ビボモデル。理論的ドラッガビリティ評価:低分子結合サイト、結晶、HTS。バイオマーカー)。
・副作用評価(発現部位、フェノタイプデータ、(あれば)臨床データ、クラスエフェクト)。
・特許・競合状況(FTO解析、販売オプション、類似メカニズムの競合状況、特許性)。


・ターゲット同定
1)Fig. 2aの以下の項目を評価。
・遺伝子発現プロファイル
・プロテオミクス
・パスウェイ解析(データベース)
・フェノタイプ解析(データベース)
・機能解析スクリーニング(siRNA)
・遺伝子関連性
・文献

2)Fig. 2bの3要素の洗い出し。
・モデル、技術の入手可能性
・疾患に対する理解
・MOAに対する理解


・ターゲット検証
ビトロ、ビボ、ノックアウトといったフェノタイピングの利用。ヒトへの外挿性ある系の構築。
ITKは皮膚炎症治療薬になりうる事が細胞の過剰発現によって確認され、バリデーションに成功した好例。

・ドラッガビリティ評価
タンパクの3次元構造の確認にはPDTD。
http://www.dddc.ac.cn/pdtd/

低分子結合部位の有無を評価するにはEMBL-EBIのサイトが利用可能。
https://www.ebi.ac.uk/chembl/drugebility


・アッセイアビリティ
GPCRでもオーファンの場合は系の構築に工夫が必要。

・疾患によってターゲットの良し悪しは変わる
バイエルの抗癌薬としてマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブ(ネクサバール)は循環器系疾患治療薬としても可能性があるが、慢性疾患への適応はハードルが高い。

第2報では、ファイザー社が、フェーズ2を生き残る事ができる化合物が何なのかを知る為に、社内で意思決定したフェーズ2の44プログラムを解析した。多くの失敗は薬効不足が原因であったが、その多く(43%)は検証していたメカニズムが不適切であった為と推定された。フェーズ2で生き残りフェーズ3への確率を高めるには、「生き残る為の三本の矢」ともいえる1)作用部位、2)ターゲットへの結合、3)薬理作用発現、のPK・PDを総合的に理解しておく事が重要である。Fig. 1に示すように3本の矢をいくつ満たすかのマトリックスをターゲットのリスクマネジメントに活用している。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。