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非亜鉛部位結合阻害薬MMP13

Heim-Riether A, Taylor SJ, Liang S, et al. Improving potency and selectivity of a new class of non-Zn-chelating MMP-13 inhibitors. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(18):5321-4.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19692239.

Gao DA, Xiong Z, Heim-Riether A, et al. SAR studies of non-zinc-chelating MMP-13 inhibitors: improving selectivity and metabolic stability. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10009923.

ジンクプロテアーゼに分類されるMMP-13阻害薬は、ヒドロキサム酸やピリドンのように活性中心の亜鉛に配位する共有結合ライクな阻害薬が中心であるが、同時にメタロプロテアーゼに対する選択性や非特異的結合によって安全性を確保できないといった問題を抱えている。一方で、本報ではグラフィニティ社のリード/フラグメントライクな11万化合物のライブラリーをSPRアッセイして見いだした化合物1は430 nMの活性を有し、かつ活性中心の亜鉛と配位する部位を有していないという非常にユニークなリガンドを見いだした。実際にタンパクとの共結晶でこの事が確かめられた。亜鉛結合サイトを利用する阻害薬は活性こそ強力であるが同時に前述の課題を抱えてしまう事のジレンマを抱えているので、非亜鉛結合阻害タイプで活性を向上させる事ができればこういった課題を解決しうる。

このような背景から、活性向上に亜鉛との相互作用を利用するのではなく、S1ポケット方向に置換基を伸張する事で、活性の向上と選択性獲得を目指した。アミド結合を介した置換基導入によって望みのプロファイルを持つ化合物を見いだすに至ったが、これでは加水分解によって癌原生アニリドの生成リスクが伴ってしまう。エーテルリンカーに切り替えて、中央ベンゼン環をピリジンにすると活性向上のみならず溶解度の改善も達成する事ができた。


さらに第2報目では、別ケモタイプとの重ね合わせからデザインした化合物3からの展開を示している。イミダゾピリジン部分の最適化で、トリフルオロメチル基を有するピリジン(22)、ピリミジン(27)で9乗オーダーの活性と2300倍以上の選択性を有する化合物を見いだした(Table 1)。次の課題は代謝安定性でこれが脂溶性と相関がある事を見いだし、シクロヘキシル部分を小さな置換基に変換、それでも代謝安定性には大きな影響はないが、さらに極性基である酸素原子を入れていく事で代表化合物35ではclogPが2.4低下し、代謝安定性は大幅改善、活性は9乗オーダーを保持、選択性は200倍以上を確保した。

歴史のあるテーマでもこのように阻害様式で新たなブレイクスルーが起きた場合は、研究の節目となって進展がある場合がある。こういった研究の「潮目」は文献、特許でフォローしておく価値は非常に高い。
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