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HIVから睡眠薬/創薬温故知新

Barrow JC, Rittle KE, Reger TS, et al. Discovery of 4,4-Disubstituted Quinazolin-2-ones as T-Type Calcium Channel Antagonists. ACS Medicinal Chemistry Letters. 2010:100201115002056.
Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ml100004r.


 ドラッグデザインの基本は研究者のアイデアや創意工夫に依存するが、ここでの報告例は他が追随できない自社の伝統が大きな追い風になった事例である。すなわち、メルクは既にTータイプカルシウムチャンネル拮抗薬1や2の発見過程で、過去の研究ナレッジであるセロトニン2BやKSP阻害薬のβフルオロピペリジンのナレッジを活かして研究を進めてきた。第3のヒットケモタイプ3は、またしてもメルクオリジナルのHIV逆転写酵素阻害薬(NNRTI)のエファビレンズから導き出されたものである。NNRTIのエファビレンズに由来する構造は、つい最近、万有のELOVL6阻害薬でも利用されており、このように次々に別のテーマでもそのパワーを発揮している。エファビレンズは医薬品になっている骨格だけに、化合物の「筋」が良い。ここに、改めてメルクの圧倒的な伝統を感じざるを得ない。

 化合物3を光学分割したユートマー8aは活性と選択性に優れ、MDRプロファイルは良好であるが、経口吸収性が認められない。その理由は脱エチル化が原因と考えてシクロプロピル化(9)。これにより活性は若干減弱するものの経口吸収性が認められた。脱分極状態と高分極状態で活性に開きがあるが、ビボでは別ケモタイプ1、2と同様に作用を確認した。この化合物はTDIが強いが、その原因はシクロプロピルアミンに由来すると考えて、速やかにトリフルオロエチルに変換し、TDIを回避した。この辺の無駄のない変換、スマートさはメルクならではか。トキシコフォアを引っさげた状態で最適化を続ける事は脱却したいところである。ここで見いだした化合物は経口吸収性も非常に優れていたがPXRが強くCYP誘導が懸念された。メルクのPXRドッキングモデルからフェニル基に極性基を入れると良い事が示唆されたが、活性は減弱してしまう。一方で4級炭素のエチル基をシクロプロピルにすると活性が向上する。この二つのナレッジをハイブリッドさせた化合物12でPXRを減弱させ、活性を保持し、経口吸収性を獲得した。ビボでは癲癇、恐怖に加え、睡眠作用も見ている。
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