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オフターゲット一挙解決にカルボン酸

Gianotti M, Botta M, Brough S, et al. Novel Spirotetracyclic Zwitterionic Dual H(1)/5-HT(2A) Receptor Antagonists for the Treatment of Sleep Disorders. Journal of medicinal chemistry. 2010.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20942472.

H1拮抗作用が睡眠導入作用を有するのに対して、5-HT2A拮抗作用には睡眠維持作用がある。よって、これらのデュアル拮抗薬には睡眠導入作用と維持作用を合わせ持つ優れた不眠症治療薬となる事が期待できる。このコンセプトの元に、前報ではイミダゾベンゾジアゼピン系化合物を報告しているが、ここでは別ケモタイプとして既知3環性化合物ミルタザピンとミアンセリンからのホッピングで見いだしたスピロ4環化合物の最適化を報告している。デザインされた化合物9a'は分子量291と低分子でデュアル拮抗作用を有するが、一方で代謝安定性が低く、経口吸収性の低さが懸念される上に脳内移行性は僅かに0.01。CYP阻害、hERG阻害が強いうえに、アドレナリンα1や5-HT2B, 2Cに対するオフターゲットにも活性を有している。これら惨憺たる状況を打開するのは伝家の宝刀カルボン酸である。

カルボン酸には良い面、悪い面があるが、ここで一般に懸念されるのは中枢移行性であろう。前報でもH1拮抗薬の研究でツビッターイオンが脳内移行性が獲得できる事が分かっており、ここでもその戦略をとった。合成した30化合物以上のカルボン酸系化合物は、望む二つの活性を保持し、他のサブタイプに対して選択性を獲得し、hERG阻害やCYP阻害、代謝安定性といったADMEToxプロファイルを劇的に改善させた。注目は、脳内移行性は0.1-2.2のレンジにあり、元の化合物に比べてカルボン酸を入れた事がむしろ脳内移行性の改善につながっている点である。ビボでも最小有効量は3-10 mg / kgのレンジで効いている。

母核4環構造は新規性があり合成法設定が求められていた。Scheme 1にあるように、ケトン1をジアリル化すると、2と3が混合物で得られるが、2をクライゼン転位で3に収束させている。オレフィンメタセシスで閉環した後に酸化した後、デスマーチン酸化で7を得るが、このジケトンの一方のカルボニルの選択的還元が加圧下水素添加で進行するものの、ボルフキシュナー還元やラジカル的脱離の条件ではうまく機能しないなど、苦労の跡が伺える。

メリット・デメリットを合わせ持つカルボン酸であるが、これだけ多くの課題を一挙に解決してくれるのもカルボン酸くらいのものである。ここでは中枢薬で利用した点に一工夫がある。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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