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チオフェンは回避すべし

Badland M, Compère D, Courté K, et al. Thiophene and bioisostere derivatives as new MMP12 inhibitors. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10015489.

適応疾患としてCOPDを目指したMMP12のヒット化合物1は13μMと活性は良いものの、その構造的特徴はS1'ポケットを占有しつつも亜鉛結合キレーターを有していない点にあり、この事はMMP13,2,3といったサブタイプ選択性獲得のポテンシャルを有している事を示す。この報告のまず最初のポイントはこの点にある。

また、この報告の第2のポイントはトキシコフォア回避である。すなわち、最適化の方針として、母核のチオフェンは2位と5位がCYPによって代謝を受けるとヒドロキシル化を介してバイオアクティベーションのリスクを有するので、この変換に注力する。

2位や5位の代謝を防ぐ方法として、
1)代謝を受けないNやSに変換(すなわちイソチアゾールに変換)、
2)フッ素を導入してブロックする、の方法をとった。

さて、Table 1にその結果(突如出現した謎の側鎖シクロヘキシルカルボン酸についてはノーコメント!?)。チオフェンを他のヘテロ環に変換すると活性は減弱。一方でフルオロチオフェン5は活性が3倍程度向上。さらにアミド側鎖とアリール側鎖の検討(Table 2)。活性は実に7 nMに達する。ここで得られた化合物は確かにAmesやバイオアクティベーション試験でネガティブであり、安全性の獲得に成功した。

鍵中間体5?フルオロチオフェンー2?カルボニル体の合成法はほとんど知られていないので、ルート検討をしている。中間体ブロモフルオロチオフェンC’の合成には毒性ガスのFClO3を使用するのを避ける為にScheme 2のルートを設定。5?ニトロチオフェン2?カルボニトリルの脱ニトロフッ素化条件で得られる5?フルオロチオフェン2?カルボニトリルは揮発性の為にスケールアップでの再現性に課題があった。4?ブロモチオフェンをSelectfluorで5位をフッ素化すると反応は進行するが精製で原料との分離ができず。そこであらかじめ4位にアリール基を入れたチオフェンからの変換を検討(Scheme 3)。5位アミノ基をBalz-Schiemann 条件でフッ素化を試みるが得られず(このフッ素化法は3位4位に適している?)。一方で5位無置換体をSelectfluorで処理するとフッ素体が得られた。

毒性試験はやってみないとわからないものもあれば、構造ベースで予測できるものまで存在する。最初からリスクのある骨格は、早期に脱却する。それがメディシナルケミストの使命の一つでもある。また、MMP12阻害薬でヒドロキサム酸といった典型的な亜鉛結合部位を有さずに7nMの強力な活性を示している点も注目できる。
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