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オフターゲットがオンターゲット?

Flanagan ME, Blumenkopf TA, Brissette WH, et al. Discovery of CP-690,550: A Potent and Selective Janus Kinase (JAK) Inhibitor for the Treatment of Autoimmune Diseases and Organ Transplant Rejection. Journal of Medicinal Chemistry. 2010:101124130633069. Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jm1004286.


選択的JAK3阻害薬探索のために、ファイザーの40万化合物をスクリーニングし、ピロロピリミジン2aを有するCP-352,664を見出した。この化合物はJAK2に対する選択性が低く、貧血・無気力といった副作用の要因になりうるので、選択性を獲得する必要がある、というのが当初の作業仮説であった。また、代謝安定性の改善も課題である。

ここで設定した目標は、JAK3に対して10nM、細胞系で100nM以下、JAK2に対して100倍以上の選択性をもち、ヒト代謝安定性>60 min.に設定した。ヘッドグループの3環性構造の変換で単環でも活性保持、JAK1活性が向上し、脂溶性の低下に伴い細胞系活性が向上(Table 1)。N-メチルシクロアルキル基に絞ってフォーカス・ライブラリー合成する事で、ジメチルシクロヘキサン6cを見いだす(Fig. 3)。3置換シクロヘキサンの立体制御と置換基導入のために、天然物であるテルペノイドファミリーのカルボン7から誘導化し、SARを取得(Table 2)。シクロヘキサンでは脂溶性が高いので、ピペリジンに変換して脂溶性を低下するとともに、Nの位置で合成容易性を獲得させ、最適化(Table3, 4)。clogP<2でヒト代謝安定性は良好、シアノメチルアミドにした18mで3.3 nMの活性と40 nMの細胞系活性、JAK2に対する20倍の選択性を示した。光学分割しユートマーの1を開発化合物CP-690,550に選定した(ビボ、ADMETox確認)。

後日談として興味深いのは、当初選択的と考えていたこの化合物を溶液中キャリッパーアッセイで結合活性を評価するとJAK1,2,3に対して非選択的でTyk2に対しても活性は強かった点。結果的に100倍の選択性が得られなったが、JAK1,2の阻害がRAのような疾患の治療には効果的に働いてる、結論づけている(結論最後に臨床成績についても記載)。

JAK2阻害薬はその後も報告が多く、当初オフターゲットと思われていたが、オンターゲットとして機能している。医薬品ではしばしばこの手の逆転現象が起こる。副作用として考えられいる作用を、別の疾患治療の主作用として利用するこのアイデアは、SOSAといった戦略的デザインや、最近ではネットワークベースのデータマイニングで抽出する試みがされている。

それにしても、ファイザーにとっては、「結果オーライ」とはいえ、幸運の女神が微笑んだ結果となった。CP-690,550は現在フェーズ3開発中である。
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