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フッ素で17万倍向上

Gakh AA, Burnett MN. Extreme Modulation Properties of Aromatic Fluorine. Journal of Fluorine Chemistry. 2010. Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0022113910002770.

芳香環へのフッ素導入時の効果を紹介。非常に稀なケースではあるが、フッ素1つを導入する事で10万倍以上も活性が劇的に向上する事がある。逆に活性が大幅に減弱するケースもある。それらを系統的にレビューしている。

FDAに承認されたフッ素を含む医薬品はこの50年で7%から15%に増えている(Fig. 1)。フッ素の効果はこれまでに種々のレビュー等で報告されているが、このレビューに特徴的な点は、NCIデータベースからピックアップした情報を切り口にしている点。たとえば、フッ素導入前後の425化合物ペアから活性の向上/低下具合の分布を示したFig. 4はフッ素の活性に与える効果の全体像を見渡す事ができる。

各論として、Fig. 5の抗癌薬NSC721648(8n)は8cにフッ素を一つ導入しただけで、実に17万倍もの活性向上を果たしている。クロロ体8vに比べてもフッ素体8nは約2万倍も強力であり、フッ素に特徴的な効果と言えるが、一方でターゲット蛋白の情報が少ない為に、その詳細の理由は不明。Fig. 6はトポイソメラーゼ阻害薬の事例。少々不可解な結果として、側鎖がアジド55だとフッ素を導入した56では活性は240倍も向上するのに、側鎖がアミンの67だとフッ素をれた68では4倍程度活性が減弱する。TGFβRKキナーゼ阻害薬15にフッ素を導入した16では活性は50倍向上。結晶情報からフッ素が弱い水素結合に預かっている事が理由と考えられる。一方でCOX2のFig. 8、ACK1のFig. 9は活性が減弱した事例である。

NSC721648に関しては、フッ素一つの置換基で17万倍の活性向上は衝撃的結果である。塩素でも向上するが、その程度は僅かに8倍程度。ハンシュプロットのπ値とσ値を比較すれば、フッ素は水素とそれほど変わらず、水素と塩素の間(F: π=0.14, σp=0.06, Cl: π=0.71, σp=0.23)の脂溶性とサイズと電子的性質。共有結合性の反応をするわけでもないだけに、この効果は不思議である。
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