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sEHの適応疾患は?

Anandan S-K, Webb HK, Chen D, et al. 1-(1-Acetyl-piperidin-4-yl)-3-adamantan-1-yl-urea (AR9281) as a potent, selective, and orally available soluble epoxide hydrolase inhibitor with efficacy in rodent models of hypertension and dysglycemia. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10017968.

メルクのネガティブ・バリデーションで物議をかもしたsEH阻害薬、その火付け役とも言えるアリート社のフェーズ2開発化合物AR9281の報告である。

可溶性エポキシドヒドラーゼ(sEH)はアラキドン酸とリノレン酸エポキシドの代謝に関与し、とりわけC末端sEHはエポキシエイコサトリエノール酸(EET)を対応するジヒドロキシエイコサトリエノール酸に変換する。EETには血管拡張作用があり、ラットでは過渡的な動脈血圧の低下を示す。よって、sEHを阻害してEETレベルを増加させる事で、高血圧症、アテローム性動脈硬化症に極めて有効に作用する事が期待される。実際にいくつかのsEH阻害薬はアンジオテンシン誘起高血圧モデルラットで薬効を示す上に、ラットの腎保護作用を示す。既に紹介済みであるが、メルクは、より強力な活性と選択性を有し経口吸収性と安全性に優れたsEH阻害薬を指向し、その研究過程で、とりわけCYP2C9がアラキドン酸のエポキシ化によってEETを生成するので、これを阻害すると薬効の減弱につながるとし、CYP2C9を阻害しないよう、また、循環器に影響しうるオフターゲットのイオンチャンネル、IKr、Cav1.2、Nav1.5にも細心の注意を払って検証した。メルクの研究者は、従来のsEHの報告でこういったオフターゲットの議論がなされてこなかった事は極めて重大な怠慢、手抜きであると表明した上で、最適化された化合物において抗高血圧作用がない事を報告している。アリート社がここで見出したAR9281も150種類のオフターゲットに対して高い選択性を有しており、特にCYPファミリー(CYP2J, CYP2C)に対しても高い選択性がある事を示した。やはり、この化合物でも300 mg / kgでこそ14%の抗高血圧作用が確認されたが、100 mg / kgでは作用が見られず、メルクと同様の帰結を得ている。一方で、DIOマウスを用いた100 mg / kgで抗インスリン抵抗性作用を確認した。メカニズムとしては、sEHによって制御されたEETが、PPARγやeNOSを制御し、これらによってインスリン抵抗性を調節している、としている。実際にアリート社は循環器系ではなく、メタボリックシンドロームを適応疾患にフェーズ2に入っている。

メルクは適応拡大に魅力がないと判断したのか、そもそも検討しなかったのか、一方で対照的なアリート社の判断は手応えあってなのか、博打に出たのか。臨床結果が注目される。
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