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差別化は毒性構造回避

Qin J, Dhondi P, Huang X, et al. Discovery of fused 5,6-bicyclic heterocycles as γ-secretase modulators. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X1001766X.

エーザイの化合物1は、中央母核に毒性懸念があるマイケルアクセプターの桂皮酸を有している。この手の構造は構造由来の毒性、すなわち「バイオアクティベーション」のリスクを持つ。バイオアクティベーションの原因となるトキシコフォアを有する化合物は、たとえ動物での毒性試験をクリアしたとしても、フェーズ2以降で免疫系由来の毒性などが顕在化する場合がある。さらにフェーズ3以降の臨床応用ともなると、薬効対副作用の乖離が困難となって開発中止となる原因にもなり、製薬会社にとって甚大な研究開発費の損失と言う大打撃につながる。免疫系由来の毒性は発生頻度は低いが副作用は重篤という厄介な性質を持つ事から、この課題は製薬企業にとっては生命線となる。

メルクはこの部分構造を回避する為に、環化固定化したヘテロ環等価体をデザインした(Scheme 1)。トリアゾールタイプとして最適化した12や14では7乗オーダーの活性を有するもののビボで作用が確認できない(Table 1)。その要因は、脳内移行性が低い事が要因と考えられた。脳内移行性改善には塩基性の低下とclogPの上昇が必要と考えて、イソオキサゾールタイプを検討した。期待した31は活性が弱くビボで作用を示さなかった。活性と塩基性と脂溶性のトータルバランスを有する化合物を指向してピラゾールタイプを検討(Table 3)。化合物44で十分な活性と塩基性の低下と脂溶性の向上を果たし、30 mg / kg経口でCSF中ADβ42低下作用を確認した。

トキシコフォアに由来するバイオアクティベーションの毒性は動物モデルでの毒性試験では見抜けきれない。よって、先行する化合物にトキシコフォアがある場合、真っ先にそこを除去するデザインをする事で差別化点になりうる。このデザインの着眼点はまさにここにある。
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