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重水素化をデザインに活用

Kerekes AD, Esposite SJ, Doll RJ, et al. Aurora Kinase Inhibitors Based on the Imidazo[1,2-a]pyrazine Core: Fluorine and Deuterium Incorporation Improve Oral Absorption and Exposure. Journal of medicinal chemistry. 2010.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21128646.

メルクのオーロラキナーゼ阻害薬を通してよく知られたフッ素の効果に加えて、重水素化のベネフィットが示されている。

リードの1は溶解度に優れiv投与するのに適したプロファイルであったが、経口吸収性は低い。当初、アルコールのエステル化によるプロドラッグで経口吸収性獲得を目指したが機能しなかった。化合物1の代謝物検索を行ったところ、脱エチル化が主代謝経路でその後グルクロン酸包合の有無がある。この結果から、代謝部位ブロックで代謝安定性解決を指向した。溶媒方向に向いた側鎖にフッ素を導入すれば、代謝部位をおさえ、かつ塩基性を低減できる。この二つの効果でPK改善が狙えると考えた。側鎖エチル基をジフルオロ化、トリフルオロ化した7や8は細胞系活性が1桁低下した。これはpKaが1.3低下した為と考えられる。一方で狙いどおり脱エチル化の抑制で経口吸収性は向上した(Table 1)。次にアミンを種々変換し、そこにフッ素導入を検討した。ピペリジン9で経口吸収性が良かったので、これを出発点に2級アミンを中心に変換し、フッ素を導入した(Table 2)。ここで合成したフッ素体は細胞系活性を減弱させる事なく経口吸収性の改善に成功した。さらにPKを改善させる為にベンジルのメチレンスペーサーを重水素化する方針をとった。C-D結合はC-H結合より結合が強く、代謝を受けにくくする効果が知られており、ここでは合目的的に機能しうる。実際に合成し、比較したTable 4を見ると、3つのタイプで全てクリアランスが低下している事が見て取れる。このようにして見いだした25を代表化合物に選定した。

フッ素の代謝部位ブロックとpKa低下、重水素化によるクリアランス低下のダブルの効果で経口吸収性を改善させた興味深い成果である。重水素化体は、既存薬の改良や特許抜けに利用される事はあるが、新規ターゲットの設計で、実践的デザインに利用した例としては新しい事例である。
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