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デザインのきっかけは環状天然物

Jones P, Altamura S, De Francesco R, et al. A novel series of potent and selective ketone histone deacetylase inhibitors with antitumor activity in vivo. Journal of medicinal chemistry. 2008;51(8):2350-3.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18370373.

内因性のペプチドやアナログといった巨大分子の情報を基に、経口投与可能な低分子化合物をドラッグデザインする事に長けているのは、ソマトスタチン、タキキニン、オピオイド、グレリン、メラノコルチン、カルシトシンといった数々のターゲットでその功績を上げてきたメルクである。そこで展開されてきたオリジナルアプローチは、抗ガン薬HDAC阻害薬へと適用された。

メルクは、2007年に世界初のHDAC阻害薬ゾリンザを発売しており、第二世代HDAC阻害薬には高選択的化合物が求められる。その課題解決の方法の一つとして、第一世代化合物が有する酵素活性中心の亜鉛と相互作用する為のヒドロキサム酸を回避する事が考えられる。メルクの研究者らは、リードディスカバリーを通常のランダムスクリーニングに頼らずに、天然物の環状ペプチドアナログ、アピシジンに見いだした。アピシジンは、ヒドロキサム酸を有しておらず、亜鉛結合サイトにはエチルケトンで相互作用していると推定された。そこで、この部分構造L?アオーダアミノ酸を必須ファーマコフォアとして、「ダイレクト・スクリーニング」を展開、アピシジンと同程度のHDAC阻害活性を有する非ペプチド性化合物15を見いだした。しかし、この化合物は、代謝安定性に問題があった。活性は若干劣るものの、キノリン化合物16は代謝安定性に優れていた。しかし、この化合物は、iv投与での血中濃度は低く、血漿中で容易に加水分解している事が示唆された。ここで展開された「ダイレクト・スクリーニング」化合物のヘテロ環アシルアミノ結合は不安定で、いづれもアニリド加水分解を問題点として抱えていた。

さらなるドラッグデザインは、前世代HDAC阻害薬ヒドロキサム酸系化合物に見いだした。ヒドロキサム酸系化合物は結晶構造が解かれており(Fig. 4A)、二つのアミド結合がHDAC8のアスパラギン酸101と水素結合しており、この残基は、HDAC11を除くクラス1、2のHDACで保存されており、基質認識に重要と考えられる。この知見を活かして、亜鉛結合サイトには先のメチルケトン体を、またネックとなっているアミド結合部分は、加水分解を受けないバイオアイソスターのイミダゾール、ベンズイミダゾールへと変換し、スッキャーホールドホッピングした化合物17?19を合成した。その結果、イミダゾール系化合物で活性は保持され、加水分解の問題は解消され、インビボでも薬効を示す化合物を見いだした。


ここで見いだされた二つのケモタイプは、さらに続報で融合されて練り上げられてデザインされていく。
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テーマ : 科学・医療・心理
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