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天然物と過去ナレッジの融合

Pescatore G, Kinzel O, Attenni B, et al. Optimization of a series of potent and selective ketone histone deacetylase inhibitors. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2008;18(20):5528-32.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18809328.

先の論文で報告されたイミダゾール誘導体11は、ゾリンザやMS-275に匹敵する活性を有しているものの代謝安定性には懸念があった。最適化には、まず、電子リッチなメトキシインドールの変換を試みた。しかし、単純な芳香環への変換では、突破口は見いだされなかった。そこで、先のダイレクトスクリーニングで得たビスアミドケモタイプ10の構造を足がかりにした。すなわち、電子リッチなメトキシインドールは、重ね合わせからアミン側鎖へと変換できると推定し、イソニペコチン酸アミド33にした結果、インビトロ活性こそ低下するが、タンパク結合率改善の為か細胞系アッセイでのシフトは小さく、また、問題となっていた代謝安定性は改善した。次にイミダゾール側鎖のSARを取得した結果、フェニル基のオルト位には許容性がなく、メタ、パラ位に置換基を導入する余地があり、ナフタレン環化合物43で、最初のリード化合物11に比べて3?8倍活性が向上し、細胞系でも2倍活性が改善した。化合物43はラット代謝安定性が低く、ラットでの経口吸収性は認められなかった。一方で、イヌ、ヒトでの代謝安定性は良く、実際にイヌでは28%の経口吸収性が認められた。肝ミクソロームの結果から、ヒトの動態はイヌに近いと推定される。

メルクの研究者らは、天然物のアピシジンから、そのエッセンスである亜鉛結合サイトに作用するエチルケトンに着目し、伝統的なダイレクトスクリーニングによって、ノンペプチド/低分子化を果たし、さらに前世代HDAC阻害薬の結晶情報からSBDDで、ドラスティックな構造変換を展開して問題解決を実践した。二つのケモタイプの構造情報を融合し、電子リッチなインドールは脱却され、代謝安定性は改善され、活性は向上した。最初からランダムスクリーニングに頼る姿勢や、リガンド効率やヒットトゥーリード、リードトゥキャンディデートの分子量増大の一般則に捕われていては決して取り組めない、挑戦的ドラッグデザインとして参考にしたい。
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