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万有のピリドン2

Ando M, Sato N, Nagase T, et al. Discovery of pyridone-containing imidazolines as potent and selective inhibitors of neuropeptide Y Y5 receptor. Bioorganic & medicinal chemistry. 2009;17(16):6106-22.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19616955.

前報で見いだしたイミダゾリン系化合物は、hERG阻害が弱いにも関わらず、イヌでの心電図ではQT延長が認められた。この乖離を解決して、安全性に優れた化合物を見いだすのがここでの目標になっている。

ここでは有用な知見が4つある。
1)通常、ビボ毒性試験はイヌで行いげっ歯類ではその検出が困難であるが、ここでは技術的な問題点を克服しているのかラットで心電図を検討している。ラットで循環器系副作用を検証するモデルは、アボットがACC2阻害薬の研究でも構築しているが、ここではイヌ同様に左心室伸縮性増加と動脈圧変化をモニターし、イヌとの相同性の高さを確認し、スループットの向上を果たしている。
2)イミダゾリンの側鎖の置換基に極性基を持つフェニルやヘテロ環を導入しても伸縮性増加は軽減されなかったが、ピリドンではこれを軽減できたので、ピリドンに絞ってSARを取得した。アストラのMCH受容体拮抗薬の報告でもあったようにピリドンの酸性度がhERG阻害の低減に寄与しているのか、ここでもピリドンにフッ素や塩素、トリフルオロメチル基、メトキシ基といった酸性度を変化させるような置換基が導入されている。
3)中枢移行性に関与するPgp基質のリスクの指標となるMDR比率に種差がある。ここで見いだした候補化合物7mはヒトではリスクが低いが、マウスではPgp基質の汲み出しを受けてしまう。よって、ここではインビボの評価はMDR欠損マウスでも評価している。MDRの種差には留意したい。
4)合成面では、エルマンのエナミンを使った不斉エチレンジアミンの構築、種々のピリドンの合成法、ピリドンNHをジフルオロメトキシ基を合成する際に利用する求核置換脱炭酸を経るクロロジフルオロ酢酸を使っている点などは利用価値が高い。

万有はNPYの研究段階でピリドンのベネフィットを理解しており、続くMCHに流用している。ひとたび、その長所に築けば、各所で応用できる事を示している。また、ピリドン合成法、ラット心電図試験、MDR種差も知っておきたいナレッジである。
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