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物性の低いリードの最適化は困難

Griffith DA, Hargrove DM, Maurer TS, et al. Discovery and Evaluation of Pyrazolo[1,5-a]pyrimidines as Neuropeptide Y1 Receptor Antagonists. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10018809.

抗肥満薬を指向したNPYY1R拮抗薬のヒット化合物は、CRF拮抗薬のリガンドから見いだされた。化合物1はCRFに対して29倍の選択性を有しており、cElogD = 3.9と脂溶性は高い。脂溶性低下を目指してエチル基の除去と3環母核を2環にした化合物2aはNPYY1Rに対して2300 nMと活性が残り、CRFの活性は10μM以上と減弱した。よって、この化合物2aからNPYY1Rの最適化の検討を開始した。まず末端アミンの側鎖にフェネチルタイプの置換基を導入した2bで活性は29 nMに飛躍的に向上、さらにシクロペンチルに変え、一方でメシチルをジクロロフェニルに変えた2cで活性維持、中枢薬を目指す点で脂溶性を低下させる為にシクロペンチルをTHPにした2eで活性も向上、最後にペンダントフェニルにメトキシ基を入れた2f(CP-671906)でcElogD 2.6で1nMの強力な活性を実現。経口吸収性と中枢移行性は低く、MDRノックアウトマウスで脳内移行性が高まる事から、化合物はPgp基質になっていると推定。この改善の為に、Pgpの認識するアミンの塩基性低下とかさ高い置換基の導入を検討(Table 1, 3, 2i-2m)。MRDノックアウトマウスとワイルドタイプの中枢移行性の乖離は小さくなり、Pgp基質を回避できたと考えられたが、活性は減弱した。CP-671906ではビボも検証している。

きっと担当している研究者は、CRF受容体拮抗薬のリガンドがヒットして、ガッカリしたに違いない。ファイザーが長年抗鬱薬として研究してきたCRFは、リガンド探索の困難なクラスBに属するGPCRで、その物性は脂溶性が高く、溶解度も悪いという厳しい特徴を持っていた。CRF研究では製薬各社がこの問題解決に苦しんできた。もちろんここでのターゲットは、クラスAのGPCRであるNPYという点で、側鎖の変換により脂溶性を低下できたのであるが(その過程でCRFの活性を除去している事から、もはやCRFとは別物と考えても良いが)、それでも代表化合物CP-671906はPKや脳内移行性で課題を残している。物性の低いリードの最適化は困難を極める、その一例といえる。
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