スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

勇気ある構造単純化

Corbett JW, Rauckhorst MR, Qian F, et al. Heteroatom-linked indanylpyrazines are corticotropin releasing factor type-1 receptor antagonists. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2007;17(22):6250-6.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17888659.

Chen YL, Braselton J, Forman J, et al. Synthesis and SAR of 2-aryloxy-4-alkoxy-pyridines as potent orally active corticotropin-releasing factor 1 receptor antagonists. Journal of medicinal chemistry. 2008;51(5):1377-84.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18260619.


 CRF受容体はクラスBGPCRに属し、その拮抗薬はリガンド探索が極めて困難である。このような状況にあって、本テーマは古くからファイザーがこの研究に携わっており、10年以上前に2環性構造ピロロピリミジン骨格を有するCP-1545256, antalarminを見いだしてきた。芳香環3枚が直結または縮環でズラズラつながった構造が物性の悪さを予想させる。物性改善の方針の一つは、芳香環を減らし、平面性を落とす事である。ここでは中央ピロール環を除去し、ヘテロ原子リンカーに単純化させる方針をとっている。第1報では、上部芳香環はピラジン誘導体として最適化。第2報では、単環のピリジンに変換している。当初は、ジクロロピリジンに対するカップリング反応の立体選択性に問題があったが、ピリジンオキシドを経由する事で解決している。強力な活性、良好な代謝安定性、優れた動態と中枢移行性、ex vivo試験でも好成績を叩き出し、フェーズ2開発に進んだCRF受容体拮抗薬CP-316311を見いだしている。

この報告は2007,2008年であり、環の枚数や平面性の高さが物性の悪さに起因する事が次々に報告されだす前から、このようなアプローチをとっていた事になる。環の枚数、平面性の課題は古くから感覚的には理解できただろうが、一方で環を除去する単純化は活性を落とす方向にいきかねない事も感覚的に理解しているだけに、この方針はとれない。ましてや、それがリガンド探索困難なクラスBGPCRともなればなおさら怖くてできない。むしろ、分子を大きくリジッドにしたくなるのが心情であろう。そんな中で、物性改善に主眼をおいて、このような勇気あるアプローチをとる事が、ブレイクスルーにつながる事を示してくれている。

スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。