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ピラジノン活性代謝物回避

Hartz RA, Ahuja VT, Arvanitis AG, et al. Synthesis, structure-activity relationships, and in vivo evaluation of N3-phenylpyrazinones as novel corticotropin-releasing factor-1 (CRF1) receptor antagonists. Journal of medicinal chemistry. 2009;52(14):4173-91.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19552437.

Hartz RA, Ahuja VT, Zhuo X, et al. A strategy to minimize reactive metabolite formation: discovery of (S)-4-(1-cyclopropyl-2-methoxyethyl)-6-[6-(difluoromethoxy)-2,5-dimethylpyridin-3-ylamino]-5-oxo-4,5-dihydropyrazine-2-carbonitrile as a potent, orally bioavailable corticotropin-releasing. Journal of medicinal chemistry. 2009;52(23):7653-68.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19954247.

Hartz RA, Ahuja VT, Schmitz WD, et al. Synthesis and structure–activity relationships of N3-pyridylpyrazinones as corticotropin-releasing factor-1 (CRF1) receptor antagonists. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010;20(6):1890-1894.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10001514

Schmitz WD, Brenner AB, Bronson JJ, et al. 5-arylamino-1,2,4-triazin-6(1H)-one CRF1 receptor antagonists. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2010;20(12):3579-83.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20483614


BMSの第2世代のCRF受容体拮抗薬は、ファイザー同様に縮環構造を単環にする方針をとっている。これは、そのフェニルピラジノン系のCRF受容体拮抗薬である。まず最初の第1報目では周辺SARを取得しているが、代謝安定性は改善しておらず、経口吸収性は低い。

2報目では、代謝に関連して活性代謝物回避のデザインが主眼となっている。化合物8はピラジノンの酸化的代謝によって、エポキシ化を経由するジケト体、開環体の他にグルタチオン結合体が生成、またアニリン構造はジフルオロメトキシ基が脱アルキル化し、キノイド構造にグルタチオンが結合する化合物がインビトロ、ビボ試験で検出された。
BMSのバイオアクティベーション回避の方法論は、下記の三つ。
1)フェニル基を電子欠損性のピリジンに変換する(Ref36メルクのトーマスベイリーのバイオアクティベーション回避の報告を参照)。
2)ピラジノンのクロロ基をさらに強力な電子吸引基であるシアノ基に変換(トロンビン阻害薬のナレッジ。メチルピラジノンをクロロにするとリスクが低下。クロロでも十分であるが、より強力な置換基を検討)。
3)代謝的な「ソフトスポット」として上方アルキル側鎖にメトキシ基を導入。ここを主代謝部位とする事で、バイオアクティベーションの引き金となる代謝を軽減。

この手法は有効に機能し、10乗のインビトロ活性と強力な薬効を示す化合物を見いだし、バイオアクティベーションのリスクは0.1%以下にまで低減した。

なお、合成面で注目できる点として、

1)分岐側鎖を持つ1級アミンをストレッカー反応を鍵反応に利用して構築している点。アミンに光学活性なメチルベンジルアミンを使う事で不斉合成も達成できる。
2)ニトロアレンのオルト位メチル化に、
☆ブロモホルムでジブロモメチル化した後に水素添加で脱ジブロモ化
☆コーリーチャイコフスキー試薬を使うと一段階で得られるが収率が低く、
☆ブロモ酢酸tBuでアルキル化した後に加水分解、脱炭酸の3段階反応は収率が良い。
3)ジフルオロメチル化は定法のクロロジフルオロ酢酸の置換ー脱炭酸法では収率低いが、FSO2CF2COOSiMe3もしくはFSO2CF2COOHを利用すると90%以上の高収率。


第3報では第2報で報告した化合物2(BMS-764459)から発展し、母核をクロロピラジノンに固定化しアリール部分の変換に注力している。アニリン部分をピリジルアミンにする事でバイオアクティベーションを低減できている情報があるので同様の変換を検討。ピリジン合成で2位にメチル基を入れる際にコーリーチャイコフスキー試薬を使用。メトキシピリジンの脱メチル化はコリジンとヨウ化リチウムで進行。ジフルオロメチル化は第2報で利用した改良法で高収率に単離。SARを取得しているが、興味深い知見は活性とpKaに正の相関がある点である。

第4報では、バイオアクティベーションのリスク回避策として、6位炭素を窒素に変換したトリアジノンをデザインしている。代表化合物17Aはリファレンスの23に比べても活性は代謝安定性は改善し、グルタチオン付加体は1%以下に押える事に成功。合成面としてはヒドラジンとケトンからイミンを得、還元して得たヒドラジンをアシル化、アミノ化、環化してジケトトリアジンを合成(Scheme 1)。イミノトリフレートにした後にアニリンをパラジウムカップリングで合成(Scheme 2)。

バイオアクティベーションは臨床後期で顕在化するリスクであるが、非常にシンプルなロジックでケミストリーベースで回避できる課題でもある。疾患領域によってはメディシナルケミストがドラッグデザインに組み込む事は必須課題の一つとなる。ピラジノンの有するリスク回避の種々の方法論として参考にできる。
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テーマ : 科学・医療・心理
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