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クラスBGPCRドッキング仮説

Di Fabio R, St-Denis Y, Sabbatini FM, et al. Synthesis and pharmacological characterization of novel druglike corticotropin-releasing factor 1 antagonists. Journal of medicinal chemistry. 2008;51(23):7370-9.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18989952


昨日紹介したように、GSKは芳香環がズラズラ並んだCRF受容体拮抗薬を報告していたが、ここでは、その芳香環の一つチアゾールを非芳香族に変換し、物性面を改善する事に成功した事を報告した。ここで驚くのは、受容体とのドッキングからチアゾールの代替基を見いだしている点である。すなわち、チアゾール部分の近傍には受容体のチロシンやスレオニンが存在すると推定、水素結合アクセプターを有する置換基を導入し、活性が保持する事を確認した。芳香環チアゾールを非芳香族で水素結合アクセプターを含むイミダゾリジノンにすれば、溶解度が改善し脂溶性が低下する事で物性面でアドバンテージがでるのは容易に想像がつく。実際に、経口吸収性はラット、マーモセットで65%以上で中枢移行性も高く薬物動態面で優れていて、in vivoでも3 mg / kgから用量依存的に薬効を示している。

しかしながら、受容体ホモロジーモデルを使ったドッキングをする場合、結晶構造の解かれているロドプシンやアドレナリンβ3の構造を元にするので、必然的にクラスAGPCRでリガンドはCAD構造でないと精度が上がらないように思われる。その中で、クラスBGPCRのNonCAD構造で、こういったアプローチを試した事はにわかには信じ難い。これは後付けストーリーかもしれないし、実際には、単に物性面改善の為に芳香環チアゾールをアミド系置換基に置き換えていた過程で、たまたま活性が保持するものが見つかっただけかもしれない。一方で、ドッキングの精度が低くても、合成ケミストにとって何も手がかりがない場合、こういったアプローチさえも作業仮説を引き出すきっかけとなって多少なりとも合成するモチベーションにつながるのも確かなのだと感じる。苦境に立たされた時に、それでも先に進める事ができるのは、独自に作業仮説が立てられるか次第である。それが正しいかどうか、精度が高いかどうかよりも、作業仮説の存在が研究を前進させる。ここで見いだしたGW876008はフェーズ2まで開発を進める事ができている。
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