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創薬温故知新:SOSA事例

Carlton DL, Collin-Smith LJ, Daniels AJ, et al. Discovery of small molecule agonists for the bombesin receptor subtype 3 (BRS-3) based on an omeprazole lead. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2008;18(20):5451-5. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18818070

Lo MM-C, Chobanian HR, Palyha O, et al. Pyridinesulfonylureas and Pyridinesulfonamides as Selective Bombesin Receptor Subtype-3 (BRS-3) Agonists. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X11001855


メディシナルケミストリーの創始者的存在であるカミルウェルムースによって提唱されたSOSAとは、物性と安全性を重視したドラッグデザインの手法の一つである。医薬品となっている化合物は、ヒトでの高い安全性と薬物動態が明らかとなっており、約束された最も高品質なリードと言える。医薬品には、主作用以外に弱い作用(side activity)を有しているものがある。この弱い親和性を主作用に変換し、元の主作用を消失させる逆転の発想で新薬を見いだせば、ヒトでの動態、安全性の約束された高品質な新薬が見いだせる、というコンセプトが特徴である。


ここでは最近の抗肥満薬として注目されているBRS-3作動薬の事例を紹介する。まず1報目は、GSK社のリガンド探索であり、その手法はHTSからではない。この研究のきっかけは、プロトンポンプ阻害薬オメプラゾールがオフターゲットであるBRS-3に対して14μM (27%)の弱いパーシャルアゴニスト活性を示した事であった。文献調査の結果、オメプラゾールはラット11週投与で体重低下作用が報告されていた。これはBRS-3の作用なのだろうか?BRS-3の研究は、オールドドラッグのオフターゲットとして作用から、フォワードファーマコロジー的に展開されたSOSAによるものである。GSKはオメプラゾールのサイドエフェクトであるBRS-3の活性を向上させ、主作用のプロトンポンプ阻害作用を低下させる為の最適化を開始した。BRS-3の活性はスルホキシドリンカーよりスルフィドリンカーで強かった。プロトンポンプ活性を低下させる為に、右側ピリジン部分を変換し、380nM(67%)の活性を示す1hを見いだした。次にスルフィドリンカーをアミド、アミン、エーテル、エチレンリンカーと検討した。その結果、エチレンリンカー1lで210 nM(82%)の活性を示した。

二つ目の報告はメルクからのBRS-3のデザインである。こちらはHTSからの探索であるが、そのヒット化合物1は600 nMの活性でその構造はループ利尿薬のトラセミドに類似していた。これは旧来の医薬品であり、経口吸収性の獲得が期待され、合成法も確立されている事が扱いやすさとして長所となる事に着眼している(Fig. 2, 3)。取得されたSARから、Fig. 6のようにB部分の中央ピリジンのNは必要、A部分の左側側鎖の環状アミンはビシクロ構造が優れており、アニリンのNH基は重要。またオルト位のスルホンアミドの酸素原子を水素結合が示唆され、スルホンアミドのNHも必要、リンカーCはアミドがベスト、トリアゾールにも変換可能、末端Dは多少の立体的に嵩高い置換基が必要、と結論づけている。


SOSAの考え方は、元GSKノーベル賞受賞者の故ジェームスブラックの名言'The most fruitful basis for the discovery of a new drug is to start with an old drug’や、クリストファーリピンスキーの'The quality of the starting lead is the best predictor for candidate quality'とも関連づけられるように、高い安全性を獲得する為の有用なアプローチと言える。さらにSOSAアプローチに従えば、オーファンGPCRでヒットした場合、いきなりヒトに投薬してPOCを検証できる事を長所に上げている。BRS-3では全く理想的な形にはならないものの、プロトンポンプ阻害薬や利尿薬といった非常に古いターゲットから、新規なターゲットへとデザインを展開させたという点でSOSAの好例と見なせる。
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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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