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包合回避はHIV逆転写酵素阻害薬同様に

Tanis SP, Plewe MB, Johnson TW, et al. Azaindole N-Methyl Hydroxamic Acids as HIV-1 Integrase Inhibitors-II. The Impact of Physicochemical Properties on ADME and PK. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10014733

インテグラーゼ阻害薬はラルテグラビル、エルビテグラビル、S/GSK1349572が臨床入りしているが、これらよりも抵抗、耐性、用量面で優れた次世代インテグラーゼ阻害薬が求められる。ファイザーでは既知のインテグラーゼとは異なるケモタイプ、メチルヒドロキサム酸系化合物4や5を報告してきた。この化合物は第2相グルクロン酸包合を受ける為に排泄が速い。たとえば、カテコールの場合、pKaが8?9の脂溶性カテコールが最もグルクロン酸包合が速い。ヒドロキサム酸のN-OHのpKaも8?9であるが、この部位は活性に必須であるので、グルクロン酸包合は塩基性、酸性、脂溶性を制御して回避する方針をとった。幸いアザインドールのβ位には置換基許容性があったので、ここで物性コントロールを狙った。指標は活性と脂溶性を合わせ持つLipEを、代謝安定性はER(1に近いほど代謝されやすい)、膜透過性にTPSA、脂溶性に(c)logDを指標にした。側鎖の置換基にはアミン(Table 2)、エーテル(Table 3)、アミド(Table 4)、プロピルリンカー(Table 5)を検証。いづれも脂溶性clogDが1?2低下して活性を保持する事ができ、LipEはリード化合物の4から1オーダー優れた5前後に改善した。ただ、これらの中でアウトレイヤーとなったのが、アミド系化合物で、EC50は8乗オーダーに届かない。TPSAに違いはないので、別のファクターを考えた。ここでpKaに着目すると、ヒドロキサム酸の部分は、アミド体は7.9であるのに対して他の結合タイプは全て8以上、ピリジンのpKaはアミドが4.5であるのに対して他のタイプは5.3-5.7であった。よって、アミド結合はπ共役系の電子的摂動に影響を及ぼし、膜透過性(未測定)を低下させ、EC50値が上がってこないのだと推定された。選択した代表化合物10c, 10eは経口吸収性20%?53%で、主たる代謝経路はヒドロキサム酸がカルボキシエステラーゼによってカルボン酸に変換される為と考えられる。化合物10eはCYP阻害やhERG阻害で懸念が低かった。
合成はβ位にトリメチルアミンを入れておくと、これを脱離基に変換して種々のアミンやアルコールを合成でき、または酸化すればカルボン酸にできる。β位をヨウ素化すれば、ソノガシラ反応でアセチレン中間体を経て側鎖の置換基を変換している。

包合が課題となる場合、脂溶性を低下させる事が効果的である事はHIV逆転写酵素阻害薬でやはりファイザーが実践した手法である。ターゲットクラスが変わろうとも、薬物設計の原則は変わらない。また、活性向上の阻害要因に極性表面積のみならずpKaにも着眼した点は洞察力に富んだ考察である。
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