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ユニークBACEバインダー

Steele TG, Hills ID, Nomland AA, et al. Identification of a small molecule beta-secretase inhibitor that binds without catalytic aspartate engagement. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(1):17-20. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19036583.


BACE阻害薬としてメルクから報告された新規ケモタイプは衝撃的な内容である。通常アスパラギン酸プロテアーゼ阻害薬は、活性中心の遷移状態をミミックしたヒドロキシエチルアミン構造などを有しており、活性は強力であるもののPgp基質になるなど膜透過性に問題があるものが多かった。一方で、メルクは高濃度ハイスループットスクリーニングから見いだしたヒット化合物を最適化し、従来のモチーフとは異なりサブマイクロモルオーダーの活性を示すスピロピペリジン系化合物を見いだし、これが活性中心のアスパラギン酸と水を介した水素結合を形成するというユニークな阻害様式である事を報告した。ここでの報告は、活性中心のアスパラギン酸と相互作用しない阻害薬を初めて見いだしたとの内容である。HTSから317μMの極めて弱い活性を示すピリミジン化合物がヒットした。この化合物は従来のBACE阻害薬とは構造が異なる点で魅力があったが、結合モードが不明であった。最適化の方針を決める為に共結晶を得るのに十分な活性まで向上させる事とした。ジメチルアミノ基を除去すると活性は一桁改善した。メチル基はクロロ基で置き換える事が可能で、スルホンアミド部分はアミドなどには変換できず、スルホンアミドのNHをメチル化すると活性が減弱する事から、スルホンアミドの水素結合が重要である事が判明した。24μMの活性を示す化合物5で共結晶が得られ、スルホンアミド部分がS3ポケットに伸長し、確かに水素結合を形成している事が確認され、アリールピリミジンはS1ポケットを占めるが、意外にも、従来の阻害薬のようにシェターベーゲルサブサイトに存在しなかった。注目すべきは、活性中心と直接もしくは水を介した相互作用もしていない点であった。

非常に多くのBACE阻害薬が報告される中で、活性中心と相互作用しない結合モードを示唆したものは存在しない。もしかしたら、そのような結合様式が存在したのかもしれないが、ほとんどの報告では、活性中心との相互作用でモデルを組んでしまう。そんな常識を打ち破るリガンド報告がメルクらしさを示しているようでもある。
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