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イノベーション支援型リーンシグマ

Johnstone C, Pairaudeau G, Pettersson JA. Creativity, innovation and lean sigma: a controversial combination? Drug Discovery Today. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1359644610008263

リーンシグマが創薬研究開発プロセスで応用されているが、そのプロセスの改善が本来必要な創造性と革新性を抑制するのか否かについては議論の余地がある。このレビューでは、創造性とイノベーションをサポートする条件、原理原則、創薬環境におけるリーンシグマの利点をレビューする。生産性向上には、イノベーションと仕組みの継続的改善を奨励・実現できるような統一的環境を構築する必要がある。これを実践するには、3つのカギとなる張力を注意深く取り扱う必要がある。3つの張力、すなわち潜在的なワナは、標準化の解釈、多様性の役割、余裕のあるキャパシティをどのように使うのかの選択において起こりうる。生産性を向上させる為のリーンシグマによるプロセス改善は一見するとアンチ・イノベーティブに思えるかもしれないが、創薬段階においては、Fig. 2のようにイノベーションを加速させる為の装置として機能させる事をその目的としている。リーンシグマが創薬のサイクルタイム改善に貢献したのはTable 1を見れば間違いない。また、研究者の手応えや納得感にも確かに反映している(Table 2)。

<イノベーティブな組織のキーパーツとリーンが如何にサポートするか?>
・最重要課題の抽出
リーンシグマの魚骨ダイアグラムや「5WHYs」によって複雑怪奇に入り組む課題の中から、表面的な解決や補修で済ますのではなく、問題を深堀して洞察し原因を探る援助をする。

・課題に対する組織の姿勢
イノベーティブな組織は、課題を隠蔽すべき不都合といよりも、むしろ学習やインスピレーションの源泉と見なす。さらに、イノベーティブな組織では、課題を学びとアイデアという価値に変換する必要性を知っている。一方で、リーンの仕組みは、課題を仕組み改善の為の源泉や贈り物と見なす。

・境界領域での連携の機会
イノベーションは単独作業で実現される事はほとんどない。むしろ、多くの革新的ソリューションは、既存の類似の課題に対する解決法を修正する様によって引き出されるものである。したがって、新規な視点、連携、ネットワーク、チームワークは、イノベーションを促進するように奨励されるべきである。多くのリーンの解決法は、チームワーク、クロストレーニング、横串しのサイロ化しない思考の改良を伴っている。

・新たな事に挑戦するために利用できるある程度のキャパシティとリソース
多くのアイデアは、その価値を評価できるまでに、テーマを温め育てる必要(インキュベーション&デベロップメント)がある。それを達成たらしめるのは、探索過程に時間を割く事を許すか、もしくは投資資金によってより構造化された龍の巣のような競争システムにによる「アングラ実験」を容認するといった多くの手法がありうる。いづれにせよ、どんな手法をとるにせよ、アイデアを萌芽させるにはリソースが必要である。この手の研究は、理想的には余分なコストを支払わずに行われるべきである。作業の改良は、無駄を省き、やる気のあるリソースに自由を与える事ができる。リーンは70-80%のキャパシティで作業するように改善し、どっと沸いてくる仕事をこなしながらも、イノベーションへの余裕を生み出すのである。

・確信
型にはまらない革新的なアイデアを持つ研究者は、自己実現もしくは失敗への長旅への自身の確信するアイデアを他の研究者と十分に共有する必要がある。同時に、リソースホルダーは(しばしば仕事のアウトプットの質と量の説明責任を有しているのであるが)、リスクを承知で確信を持ってその行動を行う必要がある。リーンシグマによって改善されたプロジェクトの構造化されたチームベースのアプローチは、どのアイデアを選択し、実践し、評価するのかについて、不公平感のないフレームワークを提供する。さらに、参加者は自らの貢献が「見える化」されているので、彼らの行動によって改善されたインパクトを実測できるものとして把握できる。よって、彼らは自分たちが将来のより大きく挑戦的な研究に貢献している事を感じる事ができるのである。

・動機づけと専念
没頭し、やる気のある人は、イノベーティブであろうとするし、逆にイノベーティブな環境は、動機づけと専念する事を刺激する。一般に、リーンの仕組みは、従業員が従事してる仕事の高いレベルを報告するものである。

・フラストレーションの低減
基礎となるプロセスが良好なものであれば、人々の貢献は有効に反映するし、欲求不満は低減する。一方で貧粗なプロセスは、それ自体が阻害要因となり人々を落胆させてしまう。

・インフラストラクチャー
アイデア化の為の自由と構造(システム)の間には明らかに矛盾が存在するが、一方で何らかのサポートする為の構造がイノベーションを支援する為に必要なのも事実である。たとえば、ピアレビューやインプットといったサポートする為の構造や研究続行の為のリソースが欠如しては、アイデアはいづれ枯れ果てて死んでしまう。同様に、アイデアを進行させていく過程でそれが実りのないものだと判明すれば、建設的かつタイムリーに中止させる必要がある。これは、そこに費やされて無駄になっているリソースのモチベーション低下を避ける為である。オープンアクセスできる視覚化プラニング・メディアと構造化されたリーンツールは、Fig 1に示すイノベーションプロセスの各ステージでのアイデアの進捗を管理するのに利用できる(Fig. 1: 問題の発見/アイデア具現化(創造性)/萌芽的プロセス/優先順位付け/成果:得られた成果はアイデア具現化と萌芽的プロセスにフィードバック)。


<イノベーションとリーンシグマに求められる相関図(Fig. 2)>
☆リーンシグマ ☆イノベーション
・全てのチャンスは平等に、部門間横断的に ・時間、アイデアの萌芽
・さらなる革新への自由なキャパシティ ・イノベーション段階
・アイデアを成果に変換するプロセス ・自主性と純粋な好奇心(内発的動機づけ)
・解決策を見いだす為のチームの自由度 ・課題と機会の同定
・顧客ニーズと問題の根本要因 ・失敗は学習機会
・学習サイクルとフィードバックループの加速化 ・イノベーションには部門間連携が必要

リーンシグマとイノベーションの歯車が回転するには、
・部門間連携
・信頼
・権限委譲
・学習と洞察の源泉としての問題
・知識

が必要。

それらを支える組織は、研究に没頭しやる気のある委任された研究者で構成されていなくてはならない。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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