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等価体レビュー

Meanwell NA. Synopsis of Some Recent Tactical Application of Bioisosteres in Drug Design. Journal of Medicinal Chemistry. 2011:110317173538037. Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jm1013693

等価体レビュー、レファレンス実に368件の網羅的かつ体系的な紹介なので、等価体変換の際に立ち返るのに役立つ内容となっている。
いくつか興味深い内容として:水素等価体として最近の重水素、フッ素。炭素等価体のシリコン。シラノールの代謝的耐性。ケトン等価体もしくは遷移状態ミミックのシランジオール。シクロプロピルはイソプロピルと同等の膜透過性を保持しつつ脂溶性を低下、代謝的に安定化。シクロプロピルはフェニルの等価体としても機能。シクロプロピルとアミドはピリジンの等価体にも。アルコキシピリジンはトランス構造をとりやすい。フェニルをピリジンにするとバイオアクティベーションを低減。フェニルの等価体でキュバン、プロペランがおもしろい(距離は若干短い)。フェニルをアルコキシアゼチジンにして脂溶性低下と溶解度改善。アルコール等価体のスルホキシイミン。アルコール等価体のジフルオロメチルエーテル基、ジフルオロメチル基。CH2SHの等価体RCHF2(ファンデルワールスサイズが一致、SHの二つの不対電子対をフッ素の双極子がミミック)。環状ヒドロキサム酸のOHをジフルオロメチル基に変換して活性代謝物軽減。ジフルオロフェノールは脂溶性向上の為のカルボン酸等価体。たとえば中枢移行性を向上させるために利用。カルボニル等価体としてオキセタン、スルホキシイミン、ジフルオロオレフィン、ジシアノオレフィン。ピリドンの等価体フルオロフェニル(フッ素の水素結合能)。環状スルホンの等価体としてビシクロエーテル。ジケトン(グリオキサミド)等価体としてジフルオロメチルケトンやスルホン。ジアミノスクアリン酸はウレアやリン酸等価体。ウレア等価体としてトリフルオロエチルアルコール。


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3.1. 水素等価体
3.1.1. 重水素
DはHより若干脂溶性が低く(ΔlogP = -0.006)、サイズは小さく(0.140 cm3/mol/atom)、結合長は短い(0.005Å)。
アミンの塩基性を向上させ、フェノールやカルボン酸の酸性を低下させる(Table 2)。

3.1.2. 重水素化の代謝安定性への影響
タンパクとの相互作用効果は置換位置に依存し、一般に効果は小さいが、PDE5のシルデナフィルで酵素選択性が2-5倍改善するという有意な影響を示す場合もある。重水素体は代謝経路の追跡に利用されるが、代謝安定性を改善させる効果もある。一般に血中動態は1-7倍改善しうるし、計算では7-10倍、高ければ16倍向上する。主代謝経路をブロックする事で安全性を向上させる事も可能。たとえば、SNRIのベンラファキシンはジメチルアミンのメチル基が代謝されCYP2D6, 2C19阻害となるが、このメチル基を重水素化したSD-254はこの代謝を低減した。また、パロキセチンを重水素化したCTP-347はCYP2D6の代謝の影響を低減させた。

3.1.3.重水素化が代謝と毒性を制御
プレゴン3のアリル基のジメチル基を完全重水素化するとマウスの肝毒性が低減する。プレゴンのヒドロキシル体4を経由して生成するフラン6由来のバイオアクティベーションを重水素化によってブロックできたと推定される。
HIV非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)のエファビレンズ7はユニークな代謝経路を経てシクロプロピルカルビノール9のアセチレン部分がグルタチオン包合を受け、代謝物11が腎毒性を示すのであるが、シクロプロピル基を重水素化する事で水酸化を防ぎ、この毒性を低減できる。

3.1.4.重水素化はエピメリ化を抑制する
HCVNS3のテラプレビルのエピメリ化を重水素化で抑制(Fig. 2, Table 3)。

3.1.5. フッ素
水素をフッ素で置き換えると平均してlogDで0.25上昇。FとOの距離が3.1Å以下で脂溶性が低下している事例あり(Fig. 3)。

3.1.6.フッ素化の代謝安定性への影響
フッ素は強力な電子吸引性を示し、C-F結合エネルギーの108 kcal / molはCと結合するどんな原子よりも強力。多くの場合、代謝的に不活性化。発売されたゼチア14は13にフッ素を二つ導入して薬効量を50倍低下。一方でCOX-2阻害薬15は血中持続性が長過ぎるので、代謝的に安定なフッ素をメチル基にしてセレブレックス16としている。オキサジアゾールにCF3を入れて代謝安定性を改善したプレコナリル。メチレンジオキシ基20のカルベン形成をブロックするジフルオロ化21。

3.1.7. KSP阻害薬でのフッ素によるpKa調節
フッ素により塩基性低減、hERG低減とPgp基質低減してMK-0731を得る。

3.1.8. フッ素によるコンフォメーション変化
αフルオロカルボニルのコンフォーメションはTable 5。フルオロエチル基のゴーシュとアンチのエネルギー差がTable 6。フッ素は隣接置換基とゴーシュコンフォメーションをとりやすい事がGABAに導入したフッ素28、29で解析(Fig. 4)。C-F結合は大きく分極し、σーπ超共役的に相互作用しうる。たとえば、フルオロベンジルの安定化コンフォメーション(Fig. 5)。アミドNHとの相互作用でコンフォメーション固定化、その事例としてカプサイシン30とフッ素化された31、Fig. 6, 7の解析、ゴーシュよりアンチで安定。

3.1.8. フッ素による活性向上
たとえば、34にフッ素を一ついれた35で50倍活性向上。

3.1.9. フッ素による膜透過性
Table 7にFXa阻害薬の膜透過性改善例。また、キナーゼ阻害薬で36→37で経口吸収性7倍改善。オルト位にフッ素を持つアセトアニリド、ベンズアミドはNHをフッ素でマスクし、膜透過性が改善。たとえば、ZD-9331(40)やフェーズ3開発中のMDV-3100(41)。


3.2.炭素及びアルキル等価体
3.2.1. CH2, O, S
Table 8に比較。

3.2.2. CH2/O等価体 PGI2ミミック
プロスタサイクリン42の安定性をCH2/O変換で獲得、イロプロスト43、シカプロスト44。

3.2.3. CH2/O等価体 非PGI2ミミック
オクチミベート45とその誘導体46-48、血栓凝集阻害としてTable 9、Fig. 9、EP3のTable 10。

3.2.4. シリコン
Si(OH)2を遷移状態ミミックに利用した事例がある。フルシラゾール60やシラフルオフェン61はSi由来の毒性は報告されていない。Table 11に性質比較。

3.2.5. p38でのシリコン
Table 12に62とシリコン63の比較。

3.2.6. SNRIでのシリコン
ベンラファキシン64の4級炭素をシリコンにした65の物性比較はTable 13。

3.2.7. ハロペリドールでのシリコン
ハロペリドール66は代謝的に3級アルコールが脱水して生成するピリジニウム69がパーキンソン様副作用の原因になると考えられるが、シラノール67ではSi=C結合が元来安定でないために、このようなピリジニウムタイプの71は生成しない(Fig. 10)。また、シラノール67の代謝経路でシラノールは包合を受けない(Fig. 11)。よって、シラノールは脱水や包合に耐性を持つアルコール等価体として機能する。78から79の変換では選択性D2/D1に影響。

3.2.8. レチノイドにおけるシリコン/炭素等価体
SR-11237(80)にシリコンを導入して活性向上。

3.2.9. プロテーアゼ阻害薬におけるシリコン/炭素変換
Fig. 12:シランジオールは構造的に安定で遷移状態アナログに利用可能。

3.2.10. HIVプロテアーゼ阻害薬でのシランジオール
85に対して84。

3.2.11. ACE阻害薬でのシランジオール
ケトンアイソスターとして86、88。

3.2.12. サーモリシン阻害薬でのシランジオール
フォスフィン酸91に対してシランジオール92。

3.2.13. アルキル等価体としてのシクロプロピル
Table 15: シクロプロピルは代謝的に安定化させ、イソプロピルより脂溶性を低下させつつ膜透過性は保持。

3.2.14. T-タイプカルシウムチャンネルでのシクロプロピル
Table 16: シクロプロピルアミンによる代謝安定性改善による経口吸収性向上。TDIが課題としてでるが、アミンの側鎖に電子吸引性のトリフルオロエチル基を入れた100で解決。

3.2.15. CRFでのシクロプロピル
代謝安定性の低い101の側鎖アルキルをエーテルにした102では代謝安定性が改善するが活性が減弱。一方でビスシクロプロピルメチルにした103は脂溶性が低下し、代謝安定性が改善、活性も保持。酸性に弱い置換基であるが、この化合物では安定。

3.2.16. オキセタン
代謝部位ブロックするジメチル基では脂溶性が1程度高まる。一方でオキセタンでは脂溶性は変わらない。ファンデルワールス半径はジメチルと同等なのでジメチル基の等価体とみなせる。塩基性低減にも利用でき、hERG、フォスフォリピドーシス低減につながりうる(Table 18)。

3.2.17. CF3
tBu基のメチル基をCF3したNK1、TRPV1で代謝安定性改善(Table 19, 20)。CF3が何の等価体なのかは議論の余地あり(Table 21)。Es値ではイソプロピルより大きくtBuより小さいが、ファンデルワールス半径ではエチル基に近い。MMP-9のSARではイソプロピルよりエチルに近い(Table 22)。

3.2.18. CF2
ジメチル基の代わりにジフルオロ基.γセクレターゼ阻害薬で代謝安定性改善(Table 23)。

3.3. ベンゼン環のCをNに変換
Table 24: RSV阻害薬で細胞障害性低減。HIVでは119ではキノン代謝物を与えるが、Nを入れた121では回避可能。溶解度も改善。

3.3.1. CRF-1拮抗薬のCをNに変換
化合物123のバイオアクティベーションを低減する為にベンゼンをピリジン125に変換。

3.3.2. CaSRのCをNに変換
化合物126は代謝されてカテコール127となってバイオアクティベーションを起こすが、ピリジン128にする事で低減。

オキシベンゼン129はオキシピリジン130、131にする事でバイオアクティベーションを低減。コンフォメーション解析からピリジンやピリダジンのオルト位に酸素原子を持つ場合、アンチコンフォメーションが安定(Fig. 13, 14)。この性質を活かしたのがFactor Xa阻害薬XK-807834 (134)。

3.3.3. ジヒドロピリジンのCをNに変換
ニフェジピンはピリジンへ酸化されるので、これを防ぐ137,138。

3.4. ビフェニル、フェニルミミック
3.4.1. FXaビフェニルミミック
ラザキサバン末端フェニルをシクロプロピルにした141-142。

3.4.2. グルタメート誘導体でのフェニルミミック
フェニルの直線状構造をミミックしたプロペラン144,145、キュバン146。

3.4.3. オキシトシン拮抗薬でのフェニルミミック
アルコキシーアゼチジン148、ピロリジン149、ピペリジン150。溶解度改善と脂溶性低下。

3.5. フェノール、アルコール、チオール等価体
3.5.1. フェノール、カテコール等価体
フェノール、カテコール等価体の数々(Fig. 15)。

3.5.2. D1/D5拮抗薬のフェノール等価体
トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾロンなど(Fig. 16, 17, cpds 159-161)。

3.5.3.1. アルコール等価体のスルホキシイミン
物性はFig. 18。アルコール等価体で活性保持したのが163、活性激減したのが167。

3.5.3.2.アルコール等価体のRCHF2
ジフルオロメチルエーテル(CF3OCHF2, CHF2OCHF2)は水素結合ドナーになる。168ではジフルオロメチル基が隣接するカルボニル基と分子内水素結合を形成。

3.5.3.3. チオール等価体のRCHF2
HCVNS3阻害薬で、CH2SHをRCHF2に。ファンデルワールスサイズが一致、SHの二つの不対電子対をフッ素の双極子がミミック(Fig. 19, cpds 169-171)。

3.5.3.4. LPAでのアルコール等価体RCHF2
アルコール172をジフルオロメチル173、174にして選択性制御。

3.6. ヒドロキサム酸等価体
3.6.1. ヒドロキサム酸等価体のRCHF2
ヒドロキサム酸は強力な亜鉛プロテアーゼ結合部位である一方、ローゼン転位によるイソシアネート形成や加水分解によるカルボン酸とヒドロキシルアミンの放出といったバイオアクティベーションによってメトヘモグロビン血症といった副作用の要因となる(Fig. 20)。COX, 5-LOX阻害薬の環状ヒドロキサム酸176のヒドロキシル基をジフルオロメチル基で置き換えた177で副作用軽減(Table 26, 27, 28)。

3.6.2.CAII阻害薬でのヒドロキサム酸
185のメチルをトリフルオロメチルに。C-F結合が亜鉛に相互作用して活性を向上 (Fig. 21)。

3.6.3. TACE阻害薬でのヒロドキサム酸ミミック
ヒドロキサム酸等価体としてFIg. 22, 23, 24。PK改善、選択性改善などを目的に。

3.7. カルボン酸等価体
Fig. 25, 26にカルボン酸等価体の数々。

3.7.1. アンジオテンシン拮抗薬でのカルボン酸等価体
Fig. 27に等価体と距離の考察。MK-996(192)はテトラゾール191をアシルスルホンアミドに変換する事でグルクロン酸包合を低減し、PKを改善。

3.7.2-4 HCV NS2, EP3, BCl2でのアシルスルホナミド
Table 29, 30。

3.7.5. カルボン酸等価体のジフルオロフェノール
ジフルオロフェノールはカルボン酸とpKaが近似、脂溶性は高まる。カルボン酸の等価体で脂溶性を高めたい時に利用可能。たとえば、GABA25の中枢移行性改善に利用された208-209。

3.7.6.カルボン酸等価体のスクアリン酸
アンジオテンシン拮抗薬Table 31。

3.7.7. アミノ酸等価体のアミノスクアリン酸
グルタミン酸をアミノスクアリン酸に。NMDAやAMPA(Fig. 29, Table 32)。

3.7.8. アミノ酸等価体のヘテロ環
AMPA, Fig. 30。

3.8. ヘテロ環等価体
3.8.1. キノン時イミン回避
ブラジキニン受容体拮抗薬でのジアミノピリジンをシクロプロピルーカルボニルに変換(Fig. 31, 32)。FXaでの231から232へ。

3.8.2-6. ヘテロ環変換。水素結合アクセプターとしてのヘテロ環。水素結合能。
水素結合能としてヘテロ環pKBH値リスト(Table 33, Fig. 34, Table 34)。

3.8.7-
p38でのピリダジンの2点水素結合(Fig. 36)。2点水素結合アクセプター(Fig. 40)。水素結合エネルギー(Fig. 41, 42, Table 36, 39)。分子内N-S結合、分子内ユニーク水素結合(Fig. 47, 48, cpds 281-284, Table 41)。

3.9.1.ニトロ等価体
ニトロフェニル301をジフルオロフェニル302に。

3.10. カルボニル等価体
Fig. 52:カルボニル等価体としてオキセタン(Fig. 54)、スルホキシイミン、ジフルオロオレフィン、ジシアノオレフィン。
ファクターVIIa阻害薬、ピリドン305のカルボニルをフルオロフェニルのフッ素で代用(Fig. 55)。
スルホンアミド等価体でジフルオロエチルアミン(308→309)
ジケトン(グリオキサミド)のカルボニル一つをジフルオロ基(310→311)。
アミド、エステル等価体リストアップ(Fig. 56)。
アミド等価体としてトリフルオルオロエチルアミン(Fig. 57, cpds 315-317 (カテプシンK阻害薬オダナカチブ))。

3.11. エーテル/スルホン グリオキサミド/スルホン等価体
HIVプロテアーゼ阻害薬のアスパラギンのカルボキサミドをテトラヒドロフランに(Fig. 58)、このエーテル323(アンプレナビル)をスルホン324に、さらにスルホンをビシクロエーテルにした325(ダルナビル)。
ジケトン(グリオキサミド)の等価体としてスルホン(328→329)。

3.12. ウレア等価体
古くはヒスタミン拮抗薬(331-334)。
CXCR2, KATP開口薬でのジアミノスクアリン酸(cpds 335-337, 339-343(343のSCH-527123はフェーズ2), 344-350)。トリフルオロエチルアルコール338。
FXaのウレア/チオウレア等価体としてニトロケテンアミナールなど(cpds 351-353, Fig. 60)。

3.13.グアニジン/アミジン等価体
Fig. 61にアミジン等価体リスト。FXaではオキシグアニジン354(RWJ-671818, フェーズ1)。
FXaではアルギニン結合部位にメトキシフェニルやクロロチオフェンが置き換わる事が報告(355 (アピキサバン), 357, Fig. 62)。

3.14.リン酸等価体
Table 48, 49に酸性度。
PTP-1Bでのリン酸部位等価体リスト(Fig. 63, 64, cpds 360-365)。
リン酸の等価体としてジアミノスクアリン酸(cpds 368-373, Fig. 65,66)。
HIVインテグラーゼの活性中心、二つのマグネシウムに配位する内因性のリン酸をミミックしたウォーヘッド(Fig. 67-69, cpds, 374-376:メルクのラルテグラビル、JTのエルビテグラビル、塩野義/GSKのGSK-1349572)。
リン酸構造をミミックした409は活性減弱(Fig. 70)。

3.15. 水分子等価体
タンパクの疎水ポケットに固定されている水分子を置き換える置換基変換。410をミミックした411、412。
シアノ基(Fig. 72, Table 53, cpds 430-433)、オキシム(Table 52)。
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