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オフターゲット回避は偶然の発見で

Thompson CF, Ali A, Quraishi N, et al. Discovery of Substituted Biphenyl Oxazolidinone Inhibitors of Cholesteryl Ester Transfer Protein. ACS Medicinal Chemistry Letters. 2011:110331084747098.
Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ml100309n

ファイザーのCETP阻害薬トルセトラピブはフェーズ3で好成績を示す一方で循環器系、もしくは非循環器系副作用の要因で死亡リスクがある為に開発は中止された。一方でメルクが開発中のアナセトラピブはオフターゲット選択性が異なる点でこのリスクを回避できる可能性があり、臨床開発が進められている。アナセトラピブの構造的特徴はオキサゾリジノン骨格であり、この発見経緯が報告されている。メルクの元のリードはファイザーのトルセトラピブ同様にカーバメート構造を有する1であった。当初指向したのはカーバメート構造の安定化を図って環状固定化した2であった。Scheme 1の逆合成でベンジルアミン3とエポキシド4から合成を試みたが、実際にはScheme 2のように望みの5は得られず、立体障害のない6のみが得られ、そこから合成されたオキサゾリジノン9は期待した立体ではない。最初にデザインした化合物2を得る為にScheme 3のルートを再設定して合成した。ところが、この化合物2は活性は大幅に減弱した。そして、驚くべき事に、先にセレンディピタスに見いだされた9にこそ、予想外にもリードの1と同等の活性があったのである。これを光学分割したユートマー9Bは93 nMの強力な活性を有する。しかし、この段階ではPKはそれほど改善していない。

オフターゲットのプロファイルは予想してデザインできるものではない。その課題を克服しうるアナセトラピブのモチーフが、セレンディピタスに見いだされたというのはおもしろい。創薬に往々にして起こる奇跡の幸運、予想せずして得られた化合物の活性、そしてそのモチーフが良好なオフターゲット選択性をもたらしたのだとすると、神の恵みの絶大さを思い知らされる。
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