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ユニーク5置換シクロプロパン

Shiozaki M, Maeda K, Miura T, et al. Discovery of (1 S ,2 R ,3 R )-2,3-Dimethyl-2-phenyl-1-sulfamidocyclopropanecarboxylates: Novel and Highly Selective Aggrecanase Inhibitors. Journal of Medicinal Chemistry. 2011:110321095225033.
Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jm101609j

アグリカナーゼは、活性中心に亜鉛を持つメタロプロテアーゼのアダムスファミリー(ADAMTS)に属し、同じ亜鉛メタロプロテアーゼのMMPやTACEとの選択性獲得が課題となる。活性中心の亜鉛と相互作用するウォーヘッドは強力に結合するヒドロキサム酸が主流であるが、同時にサブタイプ選択性獲得は困難である。ここでは亜鉛結合サイトによりソフトなカルボン酸をウォーヘッドに利用する。これまでの最適化の過程で見いだされた6は、アグリカナーゼ-2(Agg-2)に対して74 nMの強力な活性を示すものの、MMPに対する選択性は低く、特に副作用の懸念されるMMP-14に対しては3.9 nMと強力な活性を有している。オフターゲットして回避したいMMP-14, MMP-1, TACEに対する選択性獲得を目標に最適化を開始した。
MMPを含む亜鉛メタロプロテアーゼは活性中心は良く保存されており、選択性獲得は、基質を認識しうるS1'ポケットのループ領域の最適化にかかっている。化合物6のピラゾールをフェニルにした7dで活性は向上し、MMP-1に対する選択性は改善するが、MMP-14に対しては選択性が得られない(Table 1)。チオフェンにメチル基を入れて2面角をねじった7aで活性は減弱するので、平面性を付与する事で活性が向上すると期待、3環性にした化合物を種々変換して得られた8cは29 nMの活性を示しMMP-14に対する選択性は6倍程度まで改善したが、まだ不十分(Table 2)。

次に合成多様性を考慮してスルホンアミドをアイソステリックなスルファミドに変換(Table 3)、ピペラジン9aで87 nMの活性とMMP-14に対して5倍程度の活性、驚くべきはピペリジンにメチル基を入れた9cで活性が2倍向上の37 nM、MMP-14は2.1μMと選択性は57倍まで拡大した。MMP-1, TACEに関しては10μM以下の活性。2面角を大きくするメチル基は、先のスルホンアミドのメチル基とは逆に活性を向上させる結果となったが、MMP-14とAgg-2のS1'ポケットを比較すると、このメチル基がMMP-14のPro259と立体反発するのに対して、Agg-2ではSer441が許容する空間を提供している事が理解できる(Fig. 2)。この効果はMMP-12でも利用されている。このポケットを狙って置換基伸張した9e-9gで活性減弱、メチル基程度の小さな置換機のみが許容。クロロフェニルをイソオキサゾール10dに変換して、活性は27 nM、MMP-14に対する選択性200倍獲得(Table 4)。

3環性タイプでもスルファニルタイプでS1'ポケットを狙えばMMP-14選択性を出せるのではないかと考えて再検証(Table 5)。11bでは選択性は10倍程度であるが、さらに置換基探索した12gで17 nMの活性と100倍の選択性(Table 6)。ベンズイミダゾールの窒素が先と同様にMMP-14のPro259とAgg-2のSer441の違いを認識して選択性に関与(Fig. 3)。

最後にシクロプロパン上のメチル基導入が選択性発現に重要との過去のナレッジを組み込んだ13a-13eで8乗の活性と200倍以上の選択性を得た。導入したメチル基の効果は、Fig. 4からMMP-14のPhe198とAgg-2のThr378の違いを反映していると考えられる。代表化合物13bは、MMP-1,3,9,13,14, TACEに対して1000倍以上の極めて優れた選択性を示し、良好なPKを示し、CYP阻害に懸念がなかった。

亜鉛メタロプロテアーゼにいつもつきまとう悩ましい選択性の課題も、ポイントとなる置換基を見つければ、非選択的なリードを高選択的なものに高める事ができる。また、テンプレートとして、ウォーヘッドにヒドロキサム酸ではなくカルボン酸を組み込んだユニークな5置換シクロプロパンである事も勝因になっているに違いない。
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