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飽くまでドラッグライクネスが軸足

DeNinno MP, Wright SW, Visser MS, et al. 1,5-Substituted nipecotic amides: Selective PDE8 inhibitors displaying diastereomer-dependent microsomal stability. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X11003416


PDE8B阻害薬初の選択的ツール化合物報告。PDE阻害薬はIBMXのように、cAMPをミミックしたイミダゾロピリミジンの水素結合ドナーアクセプターを持つテンプレートが多く、非選択的になりがちである。一方でHTSから見いだしたテトラヒドロイソキノリン(THIQ)1はこのような一般的なPDE阻害薬のモチーフを有しておらず、新規性と選択性獲得に期待が持てる(Fig. 2)。周辺合成から見いだした化合物2は 5 nMの強力な活性と優れたサブタイプ選択性を示した(Fig. 3)。しかし、一連のTHIQには活性代謝物が認められ、THIQの酸化によるバイオアクティベーションのリスクが確認された(Fig. 3)。この回避の為に、(1)縮合アリールを極性縮合環に変換、(2)イソキノリンの代謝部位ブロック、(3)縮合アリールを除去、の3つの方針をとった。(1)テトラヒドロトリアゾロピラジン4への変換では活性は消失(Fig. 4)。(2)4級フッ素導入した5では大した代謝安定性改善もなく、活性が75倍減弱した(Fig. 4)。(3)縮合アリールの除去した6で脂溶性clogDが2.9まで低下、代謝安定性は改善したが、活性は240 nMまで減弱(Table 1)。僅かな置換基変換が活性に影響する(Table 1, 7-10)。活性のあるピペリジンを母核に側鎖5位の置換基探索を開始、シス体は全て活性がなく、トランス体には活性が認められた(Table 2)。フェニル基15で活性は0.9 nMまで一挙に改善、当初の目的であった活性代謝物の生成を回避したものの、代謝安定性は悪い。フェニル基導入によりclogDが4.5と脂溶性が高いためと考え、低分子化したエチル基12で活性を確認、さらに極性基のメトキシメチル16でcLogD 2.9に脂溶性を低減して活性は3.2 nMとなった(Table 2)。ピペリジン5位に加えて、1位と3位を極性基に導入し、マトリックス的に変換した結果(Table 3)、ClogD0.91まで低下した24で65 nMの活性で代謝安定性も安定なレベルにまで改善した。代謝安定性はclogDと相関があるが、シス体はいづれもトランス体に比べて優れている(Fig. 5)。24の光学分割体と対応するシス体とのpKaや実測logDでも比較しても、シス体とトランス体に大差はない(Table 4)。よってコンフォメーションが代謝安定性に強く影響していると考えられる。さらなる最適化は続報で報告、との事。

運良く見いだされた高選択的リード化合物2も、芳香環4枚では物性が悪く、代謝安定性も悪く、バイオアクティベーションのリスクを持つものであった。しかし、そんな出発点から、ラショナルにバイオアクティベーションを回避する手立てを考え、ひとたび活性を低下させるものの、低分子化と脂溶性の低減という一環した物性改善の方向性を見失う事なく、見いだした化合物24では3つの芳香環を飽和置換基にして芳香環枚数をオキサゾール1枚にまで減らした。どんなにリード化合物に恵まれても、デザインの方向性を見失えば、いつまで経っても解決の糸口を見つける事ができない。活性に目が眩めば、損ない続ける物性を回復する事はできない。軸足を物性改善におきながら、活性向上の方向性を探るデザインは意外に実践できるものではない。
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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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