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問題点を洗い出し、解決へ

Aspiotis R, Chen A, Cauchon E, et al. The discovery and synthesis of potent zwitterionic inhibitors of renin. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X11002514

メルクのドラッグデザインは他社アクテリオン化合物3からの展開。化合物3は極性官能基導入では課題のTDIをほとんど回避できずに、さらに未公開データとしてhERG阻害も強力である(Fig. 1)。このように他社品をプロファイリングし、問題点を抽出、論文上で暴露した上で、TDIとhERG回避を目標に最適化をスタートさせている。そもそもこの化合物3は、カチオン性のアミンと二つの脂溶性置換基がhERGに結合しやすいモチーフである事が問題と考えられる。よって、ここではhERG阻害回避に極性基を導入する方針をとった。レニン酵素とのドッキングからベンジルのフェニル基上への置換基導入は溶媒方向に伸びる為に活性を損なわずに物性だけを改善する事が期待された(Fig. 2)。光延反応を鍵反応に種々の極性基を導入し、活性は11乗オーダー、プラズマ添加系でも9乗オーダーと極めて強力であったが、アクテリオンの最適化と同様にほとんどTDIとhERGを回避できていない。唯一の例外は伝家のカルボン酸を導入した18bであり、hERG阻害とTDIを激減できている。カルボン酸のこの効能は既に論文報告でも知られている。しかし、ツヴィッターイオンの性質上、経口吸収性は全く得られていない。ツヴィッターイオンの経口吸収性獲得にはプロドラッグ戦略が機能する。エステル体18aでは確かにラットで血中暴露量が増大するが、イヌでは低く、エステル加水分解効率には種差があり、かつ原体18aにはhERG阻害がある。カルボン酸部分のプロドラッグやアミン部分のプロドラッグを種々検討したが血中濃度が18aを上回るものはない(Table 2)。よって、改めてツヴィッターイオンタイプとカルボン酸アイソスターを検討したが(Table 4)、TDIこそ回避したものの、カルボン酸を有してさえhERG阻害がサブマイクロオーダーで付いてくるものがあり、PKとの両立は達成できなかった。

In vitroのADMEToxをクリーンにするカルボン酸、伝家の宝刀であると同時に諸刃の剣である事を教えられる内容である。それにしても、レニンではメルクとアクテリオンは共同開発していて研究レベルでどういう住み分けになっていたのか不明だが、他社品のプロファイリングから側鎖の変換だけで抜けるので特許がとれるのか、その戦略は大いに気になる。
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