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ベンズイミダゾール・リスク検証

Kwak Y, Coppola G, Forster CJ, et al. A New Structural Alert for Benzimidazoles: 2,6-Dimethylphenyl Substituents Increase Mutagenic Potential and Time-Dependent CYP3A4 Inhibition Risk. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X11000369

 ベンズイミダゾールはトロンビン阻害薬のダビガトランやプロトンポンプ阻害薬のランソプラゾールといった医薬品に利用され、その合成法や官能基変換法が検討されてきた。一方で、高リスク骨格であるアミノベンズイミダゾールを持つアルベンダゾール、チアベンダゾールは変異原生リスクを有している(Fig. 1)。ベンズイミダゾールに組み込まれた二つの窒素原子がCYPのヘム鉄に配位する事がその要因と考えられているが、一方でベンズイミダゾールはオルトキノンの類縁構造と見なす事ができ、オルトやパラキノンが活性代謝物を引き起こす事と関連づけられる事にはそれほど注目されていない。ここではベンズイミダゾールの2位フェニル置換基を変換し、代謝によるベンズイミダゾールのオルトイミノキノンの反応性を考察する。

 最初に検証した化合物1はAMES陽性。アミドの加水分解によって生成しうるアミノキノリンはAMES陰性であったので、これがAMESの要因とは考えられない(Fig. 2)。一方でフェニル基上のジメチル基をジクロロ基にするとAMESは陰性になった事から、ジメチル基は原因と考えられた。計算によって酸化過程を予測した結果、メチル基上の1電子酸化1aを経由し、共鳴構造で安定化したオルトイミノキノン1bが毒性要因と推定された。これは抹消性置換基を有する3a-4bでも認められ、ジメチル基をジクロロ基にするとAmesは陰性となる(Table 2)。最小トキシコフォアとしてシンプルな5ではAmesポジティブであり、やはりこの骨格が毒性の原因。さらにジメチルを除去した6、モノメチル8、ベンズイミダゾールの窒素を炭素に変えたインドール7では代謝活性化の有無に関わらずAmesネガティブであった。モノメチル8とジメチル1の違いは、ジメチルではフェニル環がベンズイミダゾールに対して垂直に立ってメチル基が酸化をうけやすく、モノメチルではその効果が弱いためと考えられた。遺伝毒性リスクとは別にベンズイミダゾールの代謝を抑制できるかどうかを見極める為に、化合物1と8のTDIを検証したところ、化合物1では7.3μMであるのに対して8では50μM以上とずっと弱かった。

 以上の結果から、ジメチルフェニルベンズイミダゾールは医薬品候補の部分骨格にするには注意が必要であり、ベンズイミダゾールは、代謝的にオルトイミノキノン種を生成する事で毒性を示す事が示唆された。ベンズイミダゾール、とりわけここで記載があるようにアミノベンズイミダゾールはリスクの高い骨格として知られている。しかし、ただその危険性を恐れるあまり手をつけないのでは、創薬の好機をミスミス逃す可能性もあるし、逆に、置換基変換でリスクが回避できると闇雲に合成していたのでは、肝心要のトキシコフォアを外せずに同じ毒性要因で前進できない。ただただトキシコフォアを恐れるのではなく、それがなぜ毒性を示すのかを解析・検証し、その部分構造を特定する事ができれば、リスクの高いと考えられる骨格さえもマネージする事が可能となる。ここで得られたインプットもさる事ながら、ここで示された検証方法と研究姿勢も見習う事ができる。
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