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志ある全ての研究者へ:緊急提言 i-ASAP

Bennani YL. Drug discovery in the next decade: innovation needed ASAP. Drug Discovery Today. 2011;00(00).
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1359644611001826


 製薬企業の将来の創薬に必要な生産性改善について考察し、ここで「イノベーションASAP (力強い問いかけ、アウトライヤーを探索し、敗北を受け入れ、抜け目なく生き残る事)」によって新薬創出できる企業文化の醸成を提案する。

 創薬企業は新薬創出の困難さと主力製品の特許切れの問題から、生き残りをかけて(1)吸収合併を増加、(2)ジェネリックや新興市場に戦略を移行、(3)過去3年の劇的なリストラ、(4)安価なCROの利用にシフトして研究開発費を抑制している。しかし、外部CROの利用は、同じ手法と方法を繰り返しているに過ぎず、創造的なものではない。安価なCROが新たな価値を生み出す事はない。安いコストへの移行が、結果的に重要な事への道を狭めるのであれば、それは避けなくてはならない。


<混沌の中にチャンスは存在する>
 2010年のイノベーティブなトップ25企業に製薬企業は含まれない(http://images.businessweek.com/ss/10/04/0415_most_innovative_companies/index.htm)。一方で製薬業界に絞ったトップ20企業を見ると、メガファーマは少なく、ブロックバスターモデルからシフトした先駆的企業ば多い事が理解できる(http://www.innovaro.com/pressReleaseFiles/Innovation%20Index%202010%20Q2%205-11-10.pdf)。もはや、ブロックバスターの「フォロー・オン」や「ミー・トゥー」はイノベーションの阻害要因でしかない。イノベーティブな企業は、新たなサイエンスを生み出す事で終わらず、それを使いこなして製品にする事に価値をおいている。間違いなく「悪魔は細部に宿る」のであって、細部をおそろかにしては失敗する、イノベーションにはアイデアの段階から製品として仕上げるまで質の高い作業が求められる。ここで重要な事は、方向性を定める事、すなわち然るべきアンメット・メディカルニーズをどうやって特定し、研究者をそのゴールに向けて権限委譲できるか?である。価値の創造に至るまでの苦難と浮き沈みの迷路をどうナビゲートすれば良いのか?


<ミー・トゥーがイノベーションを損なっている>
 かつてのブロックバスター型製薬企業モデルは、売上ではポジティブに、風土にはネガティブな影響を与えてしまった。資本主義の世界では、莫大な収益は魅力的で、それによって次世代の研究開発にも投資できる。実際、製薬企業は長らくブロックバスターの売上に支えられてきた。このトレンドの中で、既成の領域へ算入するフォロー・オン研究が流行化した。フォロー・オンは低分子が主流であったが、最近は生物製剤、バイオシミラーも台頭している。臨床開発は、サイエンスベースというよりむしろ商業ベースであった。そして、それらは相次いで失敗した。フォロー・オン戦略に多額の投資がされたが、逆に製薬企業は崖の縁まで追い込まれる結果となった。新薬創出をルーチンで再現する事が如何に困難か?誰しもが同意するのは、ビジネスはいつも「アウトライヤーの領域」で起こっており、繰り返して再現できる場合こそむしろ稀なのである。では、次世代サイクルのビジネスモデルをどのように運営すれば良いのか?


<収益か?価値の創出か?>
これまでスタチン(Lipitor®, Zocor®,Crestor®, Vytorin®, Lescol® and Caduet®)や抗潰瘍薬(Nexium®/Losec®, Takepron®, Rabeprazole® and Protonix®)、抗精神薬(Seroquel®, Zyprexa®, Risperidone®, Abilify® and Zeldox®)といった同一メカニズムの類似薬がブロックバスターとして活躍してきたが、その売上高は急降下している。製薬企業の投資額に反比例して生産性や企業価値は低下している。治療薬の創出というイノベーションではなく、既成領域への追随的後追いビジネスは結果的に裏目に出てしまい、数万単位のリストラを余儀なくされた。多額の研究開発投資に関わらず、NMEは増えておらず、フェーズ3臨床開発後期での開発中止が続発している(Axitinib/Pfizer;Elesclomol/Syntha-GSK; AS404/Antisoma-Novartis; Figitumumab/Pfizer; Iniparib/BiPar-Sanofi; Vandetanib/AstraZeneca; and Torcetrapib/Pfizer)。ところが、そのような状況にあっても、いくつかの製薬企業は新規性あり差別化しうる新薬(Epogen®, Avastin®, Tamiflu®, Revlimid®, Provigil®, Depakote® and Velcade®)によって新たな価値創出に成功している。


<イノベーションは創薬で生き残るために必要>
 イノベーションが難しいのは、自分がイノベーティブだと思っている時に限って上司に「お前はクレイジーか?」と言われるし、上司が「君はイノベーティブだね?」と言ったときに、自分は内心、「こんなのはクレイジーだ」と思っている、という状況に象徴される。イノベーションはここ10年の流行語になっている。文献、本や学会でも頻繁に使われるが、明確な定義がなされていないように見える。共通認識として、イノベーションは「価値ある新規性」の創出であり、それを可能たらしめる文化に関連づけられる。
 イノベーションが、ヒトの生活をより良いものにするものと定義するなら、製薬企業の経営陣の長期的なビジョンとコミットメントは、ミー・トゥーではなく新しく価値を創出しうる新薬に投資すべきである。製薬業界のイノベーションは、経済界の他の多くの分野よりも重要である。なぜなら、それが人々の健康を推進し、その元気を得た人々が他の分野でイノベーティブな製品を生み出せるようになるからだ。しかし、皮肉にも、ちょっとした簡単作業の「クイック&ダーティ」な薬ではなく優れた医薬品を享受している投資家による拙速な成果を求める圧力によって、製薬企業の文化が「モノマネ」へと走らされている。ここで重要な疑問が湧いてくる、「なぜ、全ての製薬企業が同一ターゲットを狙う必要があるのか?なぜ皆でコンビケムをしたのか?なぜ、同じコンサル企業から同じ戦略上のアドバイスをもらっているのか?」その答えは、優れたターゲットのバリデーションに投資せず、目先の魅力的テーマに飛びついて短期で成果を上げようとし、結果的に増える事がない枯渇したあまりに少ないターゲットに殺到する「ゴールド・ラッシュ」状態になっているからであろう。集団心理と遅れをとる事の恐怖心から、皆、同じジャーナルを読み、学会に飛びつき、同じ情報から同じターゲットに食いついてしまう。ゲノムに始まり、システム・バイオロジーに頼り、コンビケムを使い、コンサルからアドバイスをもらい、皆で同じ行動をとっている。もちろん、こういった活動を恐れずに続ける事は重要で、「ダイレクトなイノベーション」を通じて新しい可能性を見出す事はできる事は確かなのであるが、、、。
 製薬企業が科学進歩の推進に投資し、然るべき組織へと再編すれば、その企業は繁栄する事ができ、株主にも高い価値を提供できるはずである。このような将来の創造的精神を持つ文化をどうやれば生み出せるのか?


<創薬、前進する為に>
「優れた科学者は、異分野の科学的原則を身につけ、融合させ、成功する」ポール・ヤンセン

化学による前進
 合成、分析、計算、物性を含む化学は、創薬の問題解決の中心的役割を担ってきた。合成化学は、安価なアウトソーシングに頼む事が可能になったが、創薬の真の課題解決はアウトソーシングで補う事はできていない。創薬化学者には、化学のみならず、生物学、生化学、生物物理、薬物動態学、薬理学、薬学、毒性学、といった多様な領域の知識が求められる。合成力は注目されるがそれだけでは不十分で、薬物設計には溶解度、ターゲット組織への移行、吸収性を予測して問題解決しなくてはならない。創薬の数々の局面で、創薬化学者は、活性、選択性、毒性といった課題を解決してブレイクスルーを引き起こした。レトロスペクティブな解析によって、予測モデルを改良し続け、ドラッガブルターゲットのコンセプトさえも提案してきた。では、どのようにすれば、創薬化学を前進させる事が出来るのか?

生物学による前進
 生物学の難問は、演繹的と帰納的生物学の関連である。一部は創薬化学や創薬の中で理解されているが、残された以下の課題がある。
・演繹的生物学:どこまで小さな組織に全体をブレイクダウンできるのか?そして、創薬の実践に適用できるのか?(たとえば遺伝子マップ、タンパク生成、スクリーニング法、SBDDなど)
・帰納的生物学;フェノタイプを読みだした後、それを元のごちゃまぜの生体に戻した時、イノベーションに貢献しうるのか?(たとえば構造生物学、シグナル干渉、代償機構など)
 GPCRではアロステリックなリガンドが探索され、下流のシグナルの違いを認識でき、イオンチャンネルではオープン・クローズの状態やタンパクの畳込みの状態について新たな知見が得られている。では、どのようにすれば、生物学の精度を高める事ができるのか?

薬物動態学による前進
 薬物動態学は、探索初期の段階の化合物に関しては、動物モデルでの評価、予測は精度良く検証できるようになった。しかし、ヒトのPK-PDはまだ信頼性は低い。どのようにすれば、ヒトでのPK-PDの信頼性を高める事が出来るのか?

動物薬理学による前進
 動物モデルには、中枢、癌、免疫系のように臨床での予測性能の低い疾患領域と、インフルエンザや脂質疾患、高血圧といった予測精度の高い領域が存在する。動物薬理は、今後どのように統合されて考えられるべきなのか?

毒性学による前進
 癌原生スクリーニング、細胞毒性、フォスフォリピドーシス、肝毒性、hERGといった試験系が確立され、イン・シリコでトキシコフォアが予測できるようになった。免疫系由来の毒性の予測精度は十分ではなく、今後は如何にトランスレーショナルに安全性を最大化させ、免疫系由来の毒性を最小化できるかが課題となる。


<集積>
 個々の分野の前進を速やかに生産的に行うには、連携し集積する体制が必要である。以下には、低分子の新薬創出の機会を最大化し、イノベーションを発火させる為の組織での行動、iASAPを提案する。


<力強い問いかけ Ask powerful question>
 どんな研究をする時も、「いつ」「どこで」もしくは「イエス、ノー」の質問より、「なぜ」「どうやって」「何を」の方が力強い問いかけであり、アイデアや洞察、思考を深める効果がある。力強い問いかけは、(1)反省的思考を刺激し、(2)仮説に挑み、(3)ドグマを揺さぶり、(4)エネルギーを発生させる。


<ルールはイノベーションの障壁>
 ルールは本質的に演繹的で、ルールやガイダンスにただ従う事は盲目的である。ルールは回顧的解析から得られるので、創造性を阻害し、イノベーションに必要なブレイクスルーの障壁となる。ルールは、「個性」を抑圧するが、多くの医薬品はいづれもルールの例外、すなわちアウトライヤーから見出された「個性」である。ルールやガイドラインをベースにした創薬は、現行の創薬プロセスに合致するし、ルーチン化はマネージャーの夢でもある。しかし、ガイドラインやルールを設定する事自体は創造的ではない。原理原則の上にイノベーションは出現しない。下記のいくつかの事例の矛盾からもそのことは理解できる。
・多くのアニリンは変異原性が懸念されるが、多くの医薬品がアニリンを含んでいる。世界で最も売れているリピトールがその例の一つ。
・生産性は成功する為に重要であるが、その定量的評価には意味がない
・パフォーマンスは年単位で評価されるが、その進捗をカレンダー通りに月単位でブレイクダウンできるものではない。


<アウトライヤーの探索 Seek the outliers>
ここでのアウトライヤーは、必ずしも個人の貢献者である必要はなく、ルールやドグマに当てはまらず仮説を再検証させるような観察であり、ユニークなデータ相関であったりする。よって、鍵となる個人、チーム、観察、研究手法、研究環境、報酬システムまで含む。


<アウトライヤー、個人とチーム>
優れたイノベーターは、(アウトライヤーか否かに関わらず)優れた問題解決者である。観察力があり、データ集積力があり、聞く耳を持っている。彼らは、力強い問いかけによって何が必要かを特定する事ができる。そして、価値を生み出すアイデア、コンセプト、解決策を提案して、新薬を創出できる。「合理的」問題解決法は有効であるが、創薬においては「直感的」コンセプトもまた重要である。


<ベンチマーキング>
現在、過去を基準にする事は重要であるが、ベンチマーキングは付加的発明を導く危険が潜む。創薬では、強烈なチームワークが必要であって、アウトライヤーで構成されるのみならず、視点を自らのゴールに向けさせる事が重要である。戦略、プロジェクト、チームや努力のベンチマーキングは、無駄な作業であり、モノマネや非発明的作業へと導いてしまう。


<「アウトライヤー・スペース」に落とし込まれる医薬品>
・アリスキレン (Fig. 5)
・シクロスポリン (Fig. 5)
・天然物医薬品 (Fig. 6):天然物は活性、選択性、物性で代謝され輸送されるのに絶妙のバランスをとっている。
・デザインで利用される事はまずない共有結合モディフィアのSingulair®, Plavix® (Fig. 7) and Nexium®、メカニズム不明のZetia®、ボロン酸を持つVelcade®
・HCVプロテアーゼ阻害薬のテラプレビルは分子量680のペプチド性化合物だが経口吸収性と安全性を確保。

アウトライヤー・スペースの化合物は、フォロー・オン研究では見出しがたく、最小の競合状態で新薬を創出する。一般に、研究者は、往々にして研究初期段階から選択性、安全性、ターゲットバリデーション、トランスレーションといった課題をクリアして完璧なプロトタイプを見出そうとするが、そういった研究者はアウトライヤーの良き観察者ではない。その作業は最も重要な大きな問いに解答をだそうという活動ではない。誰もが理解しやすく、周りにフォローしてもらえるという安心感の中で、創薬研究者は演繹的ルールの中で在り来りな安全地帯で平均的な仕事をする。


<イノベーションの源泉>
ミー・トゥーやフォロー・オンでは新たな発見のチャンスは見出しがたい。一つの良いアプローチは、ラパマイシンが20年越しに創薬として期待され、サリドマイドが癌として再び期待されるといった、ナレッジの温故知新である。いま一つは、ドグマやデータ、理論には合致しない思わぬ発見である。クラシカルな事例として、ゼチアは当初ACAT阻害作用と予想されたが、実際にはACATとSARが合致せず、後に膜貫通コレステロールトランスポーターがターゲットである事が見出された。3つめのアプローチは、狙っていた作用を阻害するような副作用を、逆に狙いの作用にしてしまう発想の転換である。抗菌薬のエリスロマイシンはモチリン受容体作動活性がある。この作用を活かして胃食道逆流症、糖尿病性胃不全麻痺治療薬として利用されている。


<アウトライヤーは成功する>
マルコム・グラドウェルがその著書「アウトライヤー」の中で言っているように、成功は例外的人々から生み出され、彼らは統計上の極端な外縁にいる。その技術を持ち合わせた研究者を共同研究者として特定し、彼らが迷うことなく価値あるイノベーションに突き進める環境を提供する事がイノベーションの道である。同様の比喩として、ブルーオーシャン戦略が、事業戦略のマントラから引き出す事ができる(http://ja.wikipedia.org/wiki/ブルー・オーシャン戦略)。このメタファーを創薬に適用した場合(Fig. 9)、競合は少ないが、リスクも報酬も高く、さらに価値創造に反映できる。こういった発想は「絵に描いた餅」と思われがちだが、実現の為に考えをつくべきである。まだ治療薬が不十分な領域(癌、統合失調症、欝、多発性硬化症、パーキンソン、アルツハイマー、ハンチントン、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、嚢胞性線維症、感染症)には、新薬が求められている。


<我々は成功の為に自らをどのように設定するのか?>
科学者は、良き観察者であり聞き手でなくてはならない。なぜならば(1)創造的思考(新鮮な思考)は、組織内の若手から出る事が多いからである。中堅管理職の息苦しいマネージメントを抜きに、こういった行動を推進し、問題点を早期に発見できるシステムを作れば、見返りも大きい。(2)どんなプロジェクトもそのプロセスで多くの失敗、不運、困難さに見舞われる。この時、適切な観察力と鋭い問いかけ(なぜ、どうやって、何を)をする事で、新たなモメンタムを創りだす事ができる。(3)不満を持った研究者は、SOPを変更するような方法を指摘してくれるかもしれない。(4)失敗の繰り返しが、新たなシステムの構築を示唆しうる。(5)治療法のない疾患は、完全に新たなパラダイム転換の必要性を求めている。


<敗北を受け入れ、引き返せ Accept defeat, then go back>
If you can meet with Triumph and Disaster And treat those two imposters just the same
「もし君が勝利と敗北、この2つの虚像を同様に扱えるのなら・・・ ラドヤード・キップリングの詩「If」より」

 独創性は個人の特性、頭脳、好奇心旺盛な性格に由来すると思われているかもしれない。より良い、効率的な、「決して見つかる事のない」方法論を探求したいという熱意は崇拝され、それが出来るのはほんの一部の研究者かもしれない。しかし実際には発明者は皆、プロジェクトのほとんどが失敗し、重要な発明を失ってしまう可能性がある事をあっさりと認める。新たな物事やアイデアを実現するには、そのプロセスで失敗するし、落ち込む事ではないのだと受け入れる必要がある。イノベーションが求められるビジネスでは、失敗に対応する能力の方が知性よりも重要と考えられている。にもかかわらず、多くの科学者が、動かし難いネガティブな結果を前にしても、忍耐強く検討を続け、失敗を許容しないように訓練されている事は、重大な課題である。敗北を受け入れ、計画を前進できるように管理する能力は、目標を見失わない為にも不可欠である。潮時(あきらめ時)を認識する能力があれば、以前とは全く異なる方法で課題解決に挑む事を可能にする。ビッグバン理論でのノーベル賞などのいくつかの事例で、この事が言える。創薬では、臨床に入った90%が何らかの理由で失敗する。簡単に諦める事は容認できないが、「失敗を許容する」ポジティブな効果は賛辞に価する。全ての局面での計画と保証をかけても、あらゆるステージで失敗は起こりうる。これを許容する事で、オープンマインドを醸成し、透明性を持って見通す能力を身につける事ができる。そして、創薬の失敗は高くつくので、願わくば、失敗を許容することが、同じ過ちを繰り返す事の最小化につながる事を期待する。ここで鍵になるのは、問題解決の方向性であり、チームが然るべき方向に進んでいる事を確認する事である。停滞した際に、そのチームは本当に失敗してしまったのか、それともこれ前進するには既に能力の限界に達しているのか、を問い直す事が不可欠である。


<抜け目なく生き残る Populate astutely>
 イノベーションに関する文献情報によると、影響力ある高い価値の発明やビジネスのアイデアは、いつも少なくとも二人によって手がけられている(ヒューレット・パッカード(HewlettとPackard), マイクロソフト (GatesとAllen); グーグル (PaigeとBrin); アップル (Wozniak、JobsとWayne); ビートルズ (LennonとMcCartney); DNA (Watson、Crick、Franklin) 、DNAシーケンス (Maxim、Gilbert、Mirzabeckov); 不斉エポキシ化 (Sharpless、Katsuki) LDL代謝 (Brown、Goldstein)。彼らの性格を調べてみると、お互いが相補的に補間し合い、力強い質問を投げかけ、成功に導いていた。もちろん、多くの発明が個人で為されているのであるが、創薬の場合、その困難さと複雑さを考えればチームワークが成功の秘訣である事は疑う余地がない。製薬企業は、これらの結果から学び、将来のイノベーションを促進する為に、適切に補間しうる性格のインキュベーターを投入すべきである。製薬会社は、低コスト創薬モデルを実践し、クラウドをソースとしたアプローチを利用しだしているが、如何にして真のイノベーティブで価値あるものを仕上げるかは未だに不明瞭である。創薬イノベーションは、研究者が全く新しいプロジェクトに乗り出す時、最終的な製品イメージが全く無い点で、他の産業分野とは全く性質が異なる。真のイノベーティブな新薬を創出しようと研究に徹底する組織は、ミー・トゥーやファストフォロアーよりも、公、そして真のイノベーションとイノベイターに報いる必要がある。

ここで提言したかったのは、非イノベーティブな文化をイノベーティブな文化にする為の行動属性が何なのかを示し、生産性を高める人材活用法である。ここで提案する4つの成分ASAP (力強い問いかけ、アウトライヤーの探求、敗北の許容、抜け目ない生存)は、イノベーションを刺激する上で実践的で潜在的に役立つ。諺にもあるとおり、「いつも文化は戦略をランチのように食ってしまう」‘culture eats strategy for lunch, every time’(文化は全能。文化はベストの戦略立案も殺す事ができる。そこでは勝負にならない。文化が価値観、信条、権利、儀式の集合であるなら、文化はリアルな存在である)のである。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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