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ドラッグラベルのマイニングで毒性予測

Chen M, Vijay V, Shi Q, et al. FDA-approved drug labeling for the study of drug-induced liver injury. Drug Discovery Today. 2011;(2010).
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1359644611001668

FDAがCPI(クリティカルパス・イニシアティブ)で注意喚起しているバイオアクティベーションに起因する薬物誘起肝毒性(DILI)。FDAが承認した医薬品のラベルをデータマイニング、発売医薬品のDILIのリスクを分類する方法論を提案する。本手法は、バイオマーカーの探索をも支援しうる。FDAの毒性研究所システムバイオロジー部門とZ-Techから報告である。

DILI評価の3つの重要な要素
1)因果関係ー医薬品由来なのか、それ以外か?
2)発生率ー副作用の頻度はどの程度か?
3)重症度ーALT上昇、Hy'則、障害、入院、肝障害、肝移植、死亡といったDILI由来の症状の酷さ

これらの要素をどのようなバランスで盛り込む事でDILIを再現性よく正確に評価するか?これに関して、DILI評価のソースに「ドラッグラベル」を利用する。ドラッグラベルは1979年にFDAによって考案され、2006年により包括的な情報を取り入れるように改訂された。ドラッグラベルは、臨床、販売前の医薬品の副作用について豊富な情報を提供する。また、連邦規制基準(CFR)によって管理され、(1)管理下にある臨床試験データ、(2)公知文献情報、(3)副作用レポートシステム(AERS)に自動的に報告するので、DILIの因果関係、発生率、重症度の情報をパランスをとるのに相応しい。

ドラッグラベルの入手先は従来PDR(Physician's Desk Reference)が利用されいたが、ここではDailyMedを利用する。その理由は(1)ドラッグラベルの収載数がPDR以上、(2)DailyMedはパブリックドメインでフリーにアクセス可能、(3)PDRが年間更新であるのに対して、DailyMedはドラッグラベルを毎日更新している、からである。

ここでは、DILIのリスクのある医薬品を3つのカテゴリー
(1)黒枠の警告文(BW: boxed warning: black box warning):特定の禁忌や重大な警告、特に、死亡または重傷につながる可能性がある場合。
(2)通告、事前注意(WP: warnings and precautions):臨床で有意な危険が認められ、薬剤との因果関係に合理的な証拠がある場合には改訂すべき状態。たとえば、単にALTが上がっているだけではないが、重篤な肝毒も生じておらず、BWに指定されていない薬剤。
(3)有害反応(AR: adverse reaction):薬剤と有害事象に何らかの相関があると考えられる段階。
に分類する。

グルーピングはテキストマイニングにより情報を抽出し、マニュアルで読み込んで分類(Fig. 1)。
DILIの重症度に応じて8段階のレベルを設定(Table 1)。重症度に応じてレベル1-3,4-5,6-8の3つのカテゴリーに分類し、BW, WP, ARの比率を見ると、重症度とカテゴリーの深刻さに相関(Fig. 2)。ベンチマークデータベースとして287薬剤を利用(Fig. 3)。


・ドラッグラベルの利用上の注意
記載内容を単純に利用できないのは、DILIは安全性のみならず薬効、リスクベネフィットなど他の要素が複雑に絡んでいるからである。また、肝毒はほとんど例数がなくともドラッグラベルに記載され、その事で製造側や管理側は神経質になり、臨床医のリスクに対する意識が高まってしまう。さらにたとえばラミブジンのような合成核酸アナログの場合、クラスエフェクトによって肝毒が生じてBWとなる。時としてドラッグラベルは薬剤と直接関係のない肝毒も含むので、データにはむらがあり、一貫性に欠ける事もある。このような事情から、薬剤を分類する際には精度を向上させる為にはテキストマイニングに頼り切るのではなく、ラベルの内容をマニュアルで読み込む必要性がある。

ドラッグラベルは、エビデンス・ベースではなく、オピニオン・ベースであるので完璧ではない。さらに40年以上も利用されており、その判断基準は時代と共に変わっている。とはいえ、薬剤について最も真実に近い情報であるのも確か。ここで提案する分類方法を利用して薬剤を解析すれば、毒性のバイオマーカーの探索といった利用も可能となるであろう。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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