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質の低いリードから質の高い化合物をデザイン

Shen D-M, Zhang F, Brady EJ, et al. Discovery of novel, potent, and orally active spiro-urea human glucagon receptor antagonists. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2005;15(20):4564-9.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16102966


グルカゴン受容体はGPCRの中でもリガンド探索の困難なクラスBに属する。HTSでのヒット率は低く、ヒットしたとしても物性は悪い。ノボ社は元々GLP1作動薬の低分子リガンド探索を指向して非公開の作業仮説に基づいてフォーカスライブラリー合成を行ったが、その際に偶然にもグルカゴン受容体拮抗作用を持つ化合物を見いだした事をきっかけに、リガンド探索を開始した。しかし、このウレアタイプはGPCRでありがちな課題、薬物動態(PK)プロファイルが悪い。アボット社はウレアをアミドに変換した(NをCに変換)ケモタイプを報告していたが、やはりPKは良くなかった。受容体研究にとりわけ強みを持つメルクのデザインは、このノボのリガンドからの展開であった。ノボのウレアリガンドの安定構造を検証した結果、二つのコンフォマーが存在する事を見いだした。ここでデザインしたウレアを環化したスピロウレアケモタイプは、このコンフォマーのどちらでも重なり合う。メルクは、この固定化された構造であれば、活性を保持し、かつ薬物動態を改善できるとの作業仮説の元、研究を開始した。元のウレア構造からスピロウレア構造によって極めて高い新規性を獲得する事に成功(スピロ環の構築は元々メルクのお家芸的変換である)、さらに独自にカルボン酸等価体として特徴的なテトラゾールアミドを利用した。経口吸収性は13-38%仁摩で改善し、ビボで作用を示すに至った。

リード化合物の質は候補化合物の質を決定づけると言われる程、リード化合物の選定は重要である。一方で、クラスBGPCRともなると、最初から質の良いリードなど存在しえない。ここで報告されたノボ社の化合物もまた例外ではなかった。そんなリード化合物を元に、メルクは独自の作業仮説を元に、オリジナル骨格をデザインし、抱えている課題をクリアした。質の低いリードからも質の高いケモタイプを創出する、非常に高度なドラッグデザインの一端を垣間みる事が出来る。
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テーマ : 科学・医療・心理
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