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LE指標でドラッグライクなリガンドを創出

Humphries PS, Lafontaine JA, Agree CS, et al. Synthesis and SAR of 4-substituted-2-aminopyrimidines as novel c-Jun N-terminal kinase (JNK) inhibitors. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(8):2099-102.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19327989


JNK阻害薬、ここではファイザーのドラッグデザインからその研究展開のポイントを学ぶ事ができる。まず、HTSからリガンドエフィシエンシーの高い(LE = 0.44)ヒット化合物1をリードに選択した。脂溶性ElogDが4.42とかなり高く、代謝安定性が低いので、LEを保持ないし向上させながら、推定代謝部位のシクロペンチル部分を脂溶性を低減させる置換基に変換する方針をとった。購入可能なアミンから合成可能な化合物をバーチャルに1500検体発生させ、cLogDとPSA、分子量とリピンスキールール、インハウス代謝安定性予測から200化合物に絞り込み、さらに蛋白との共結晶にドッキングの可能なフラグメント50個に絞り込んで合成した。しかし、良くありがちな結果として、脂溶性と代謝安定性には相関があるものの、活性は逆相関していて良い置換基が見つからなかった。次に、方針を変更して、脂溶性の高い原因と考えられるクロロフェニルの変換を検討した。この置換基は変換の余地があり、脂溶性が劇的に低減したピランタイプの8cで結合活性は保持、細胞系の活性は向上、代謝安定性は改善した。改めて、元々のシクロペンチル部分を最適化しなおし、シクロヘキサノールとした9cで脂溶性の低減による代謝安定性のさらなる改善と活性の向上を果たした。

 悪例でありがちなのは、活性を落としたくないので、物性の悪い化合物で活性に影響しない部分に極性官能基を導入して巨大化いくというパターンだが、これではリガンド効率は低下、落ちきった物性を取り戻す為の非効率な作業となり、さらに末端に核弾頭のように導入した極性官能基は化合物の蓄積性につながって毒性の原因となる場合があり、膜透過性の低下などの種々の問題につながる。一方で、ここでのファイザーのように、脂溶性と活性の逆相関を抜ける置換基部分を模索し、そこを探し当てる事ができれば、活性・物性両面の向上につながり、大きなブレイクスルーになる。このような変換は活性が減弱する場合が多く、実際に合成するのは勇気もいるが、良い化合物を見出す為にはこのような作業は必須になる。
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