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偶然の発見、軸不斉スルホンアミド

Liu P, Lanza TJ, Chioda M, et al. Discovery of Benzodiazepine Sulfonamide-Based Bombesin Receptor Subtype 3 Agonists and Their Unusual Chirality. ACS Medicinal Chemistry Letters. 2011:111006083950004.
Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ml200207w


BRS-3作動薬の研究の一環として、HTSから見出した化合物1は40 nMの結合活性を示すが、経口吸収性がほとんどない。最適化の為に、この化合物の再合成を検討したが、何処の反応プロセスでも、位置異性体の混合物であり、最終段階でも順相、逆相HPLCで分離不可能であった。やむなく、OD光学分割カラムでの精製を試みたところ、予想外にも3つのピークが観測され、X線結晶構造解析とNMRからエナンチオマー8a, 8bが分離された。スルホンアミド結合の回転障壁は小さいが、ベンゾジアゼピン7位のメチル基との間の障壁が大きく、アトロプ異性体として単離されたと考えられる。室温25℃でのラセミ化の半減期は296日と遅く、40℃で39日、しかし100℃では4時間で完全にラセミ化する。7位の置換基が水素やフッ素、ピリジンの不対電子対ではアトロプ異性体は得られず、縮環した10ではアトロプ異性体が得られる(Fig. 4)。この思いがけない発見から見出された光学活性体の活性は(S)体で1.4 nM、8bでは169 nMと全く異なる。さらに驚くべき事に、ラセミ体1では経口吸収性は低いが、ユートマー8aでは15%の経口吸収性が得られた。化合物8aは100種類のオフターゲット選択性で良好なプロファイルを示し、hERGやDLZチャンネル阻害活性は10μM以下であった。しかし、PXR活性が678 nMとCYP誘導の懸念が確認。また、ワイルドタイプ、BRS-3ノックアウトマウスのビボ試験からオンターゲットによる体重低下作用を確認した。側鎖置換基を変換した一連の化合物8iは3.2 nMの活性で、34%まで経口吸収性は改善した。

スルホンアミドの軸不斉、全く想像しえないその構造は、位置異性体の分離という無縁の操作から偶然に見出された。位置異性体の分離が簡単であれば、光学分割体の存在にも簡単には気が付かなかったかもしれない。そして、そのユートマーで、BRS-3の最大の課題である薬物動態が改善された事もまたドラマティックである。
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