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Elan, γセクレターゼ阻害薬-2:ピラゾール包合をリモート制御

Bowers S, Probst GD, Truong AP, et al. N-Bridged bicyclic sulfonamides as inhibitors of gamma-secretase. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(24):6952-6.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19879755

 エランで50万検体からマイクロオーダーの活性でヒットしたガンマセクレターゼ阻害薬は、昨日紹介分とは異なるビシクロ型3環性構造である。最適化によって2nMの活性を持つ化合物1へと変換されたが代謝安定性が低く、包合を受ける為に経口吸収性が低かった。ここでは高脂溶性の原因と考えられる[3.3.1]ビシクロ環の変換により問題の解決に取り組む。ビシクロ環上の置換基はアルコールやカルボン酸といった電子供与性基は許容されず。それぞれアルキル化したエステルやエーテルは活性保持。とりわけエーテルタイプはグルクロン酸包合を受けにくくなっている点が注目できる。シクロプロピルエーテルは活性が激減しているので立体的に許容性が低い。ジフルオロメチルやニトリルは活性保持、酸化的代謝、グルクロン酸包合(ヒト、マウス)は、ジフルオロメチルで若干改善、ニトリルで大幅に改善。アセチレン、トランスエチレンは強力な活性を持つが代謝は良くない。包合はピラゾール部分で生じていると考えられるが、ビシクロ環10位の変換が大きく影響しており、包合をリモートしているのは興味深い知見。ニトリルやエーテルのようにヘテロ原子を含むもので包合は受けにくく炭化水素系で受けやすい。電子吸引性がピラゾールの求核性や電子密度に影響しているとも考えられるが、それだけでは説明がつかず、立体的要因も作用しているのかもしれない。10位の変換として、炭素をヘテロ原子の窒素や酸素、硫黄に変換。窒素リンカータイプは脂溶性が大幅に低減して代謝安定性は劇的に改善するも活性は大きく減弱、エーテルタイプは両パラメーターを両立、チオエーテルタイプは代謝が悪い。活性が8乗前半の化合物で、経口吸収性は改善している。
 合成面では
1)[3.3.1]ビシクロ環部分に酸素原子を組み込んだオキサグラナタン、さらに窒素原子、エステルを有する化合物が合成。環構築は、トロピノン合成で利用されるRobinson-Schopf反応を鍵反応。すなわち、ベンジルアミンとジアルデヒドが環状ヘミアミナールを形成、ここへアセトンジカルボン酸が作用し、脱炭酸してダブルチェアタイプのビシクロ環が得られる。ジアルデヒドはジヒドロフランもしくはジヒドロピロールのオゾノリシスもしくは酸化的解裂によって供給可能。
2)エステルからの置換基変換は、ピラゾールをSEMで保護しておけば、加水分解してカルボン酸に、LiBH4でアルコールに、さらにアルキル化してエーテルに、エステルをエチルグリニヤールとイソプロピルチタンで処理するクリンコビッチ反応でシクロプロパノールにできる。アルキル化すればシクロプロピルエーテルに。 アルコールはデスマーチンもしくはスワンでアルデヒドに。アルデヒドはオキシムにしてからMsClで脱水すればニトリルに。DASTで処理すればジフルオロメチルに。アルキンへの変換は旧法のコーリーフッチスでは2段階かかるが、大平ーベストマン試薬(アセチル化したαジアゾフォスフォナート:ギルバート試薬)を使えば一段階で合成可能。TBAFを塩基に使えばPh2P(O)CH2CF3とホーナーエモンズが進行してCF3エチレンが導入できる。
3)ピラゾールの保護基は、SEM保護は酸で脱保護。スルホニル基で保護すれば塩基で脱保護できる。
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