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GPR109:無視できない3環性構造

Shen HC, Ding F-X, Deng Q, et al. Discovery of novel tricyclic full agonists for the G-protein-coupled niacin receptor 109A with minimized flushing in rats. Journal of medicinal chemistry. 2009;52(8):2587-602.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19309152

アテローム性動脈硬化症治療薬として利用されるビタミンB3であるニコチン酸、すなわちニアシンは、副作用として顔面紅潮などフラッシングが問題となっており、この副作用軽減が次世代治療薬の目標となっている。ニアシンがオーファンGPCRのGPR109の内因性リガンドである事が判明して以来、メルクではフラッシングを軽減しうるGPR109a作動薬、もしくはプロスタグランジンD2受容体拮抗薬を併用する戦略がとられきた。前者からは、部分作動薬MK-0354のフェーズ3開発が進行しており、そのバックアップ研究として作動薬、さらに2008年夏にはオルソステリック作動薬とシナジカリーに作用するアロステリック作動薬の衝撃的報告があり(既に紹介済みhttp://medicinalchemistry.blog120.fc2.com/blog-entry-219.html)、メルクの研究開発力の地盤に優れた基礎研究が存在する事を顕示してきた。また、後者のDP1拮抗薬は、メルクの古くから利用されてきたインドール骨格から強力な電子吸引基の導入によってバイオアクティベーションのリスクをほぼ完全に取り除いたMK-0524がフェーズ3開発中である。ここではその一環としてGPR109a作動薬を報告しており、アントラニル酸化合物のヒットを、3環性の[6,6,5]、[6,5,5]、[6,6,6]、[5,6,6]のタイプに閉環した化合物をデザインして合成、SARを検証した。末端置換基のフェノール性水酸基はGPR109a作動薬の活性増強に貢献する事は以前から知られていた。ナフトール2qでは酸化的代謝を経て蛋白との共有結合、バイオアクティベーションのリスクを伴うので、そのリスク回避の為にピラゾールへと変換している。3環性構造として、メチレンで渡環した化合物より硫黄やエチレンで渡環した化合物で活性は強かった。一方でアミドやイミンで渡環した化合物は活性が激減した。ビボの作用との乖離に寄与する蛋白添加シフトは化合物によってまちまちであった。カルボン酸系化合物につきまといがちなCYP2C8, 2C9阻害は、エチレンで渡環した化合物で大幅に低減でき、一方で芳香化されて渡環した化合物では逆効果となった。ここで見出した化合物からフラッシングのリスクが低い作動薬を見出している。結論で「ビアリールのコンフォメーションを固定化するのに3環性構造にするのは、メディシナルでジェネラルな戦略になりえる」としている。そんな事は誰でも考えつきそうなものだが、誰もが3環性構造を敬遠してしまうのは、平面性に起因する溶解性の低さが懸念されるからと推定される。しかし、この事は、炭化水素のビフェニルを閉環したフルオレンやアントラセン、フェナンスレンではそうかもしれないが、ここで利用されているピラゾロフェニル、トリアゾロフェニル、イミダゾフェニル、といったヘテロアリールフェニルを、ヘテロ原子経由で固定化する構造は、全く新規で意外に溶解性や物性面をクリアできていると想像できる。合成法も既知反応2、3発ではなく、ここで報告された9種類の合成法の数々を見れば、決して安易な発想から合成したとも思えない。このような多環性化合物も、ヘテロ原子の組み込み型次第で、物性面も良いものがあるのかもしれない。
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