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アミド等価体:環状ヒドロキシアミジンの性質公開

Sun Z-Y, Asberom T, Bara T, et al. Cyclic hydroxyamidines as amide isosteres: Discovery of oxadiazolines and oxadiazines as potent and highly efficacious γ-secretase modulators in vivo. Journal of medicinal chemistry. 2011.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22098494


γセクレターゼ調節薬(GSM)の初期はインドメタシンやフルリザンといったNSAIDS系化合物が検討されていたが、その後トーレ・パインからイミダゾールフェニル誘導体1が報告されて以来、非NSAIDS系GSMが最適化の標的となってきた。その検討を見ると、左側のイミダゾールフェニルは保存されているが、中央部のαβ不飽和アミドは変換可能である。E-2012は臨床開発に進んだが、ラット13週毒性試験での水晶体毒性の影響もあり、一時的に中止された。E2012の1は開環したII、さらにベンジルメチル部分をスピロに巻いたIIIへと変換が可能であった。IIIの構造からカルボニルの右側は混みいっており、カルボニルの一つの不対電子対は酵素側のドナーと相互作用には預かっていない。よって、この不要の不対電子対を潰すようにアミドとベンジル側を環化させる事が可能と考えた。しかし、デザインされた環状アミジンのイミノ基は強塩基性かつ反応性が高いので、現実的デザインではない。塩基性を落として安定性を得る為に、ヒドロキシル化されたイミン、すなわちオキシムやヒドロキシアミジン、ヒドロキシアミジンに変換する事を指向した。この中で、環状ヒドロキシアミジン、すなわちオキサジアゾリンの2aはE-2012と良く重なりあう。しかし、オキサジアゾリンは過去に検討例が少なく、代謝、毒性プロファイルは不明である。また、単環のオキサジアゾリンは酸性溶液中で不安定であるが、3環性のような縮環したタイプであれば安定である。また、環を拡大した環状ヒドロキシアミジン、すなわちオキサジアジンはp38阻害薬でフェーズ2開発化合物にも含まれる部分構造であり、それを持つ2bは有望である。このような状況の元、まず、単環のヒドロキシアミジン4でGSMの作用を確認し、これをクリアすれば、より安定性に優れたドラッガビリティを持つ2環性の2a, 2bへと展開する事とした。まず最初に合成された4は、対応するアミドタイプのIIに比べてAβ42活性が3倍以上強い60 nMであり、このデザインの妥当性が示された。オキサジアゾリンのヒドロキシアミジンがアミド等価体に利用できる。しかし、予想通り、化合物4は中性条件では安定であるが、0.1N塩酸溶液中ではアセトフェノン体へと分解してしまう。一方で次のステップとして二環性にして安定化させた2aを検証した。この化合物は同条件でも安定であり、「ドラッガブル・モチーフ」になりうる事が示唆された。この「ドラッガブル・モチーフ」とは筆者らが今後提案しようとしている用語で、良好な薬物動態、薬効、毒性プロファイルが明らかにされたファーマコフォアを指す。適切な「ドラッガブル・モチーフ」の利用は、SAR取得に役立つと考えており、今後報告を予定しているようで、期待される。化合物2aはすべての動物種で優れた薬物動態を示しており(Table 4)、薬物間相互作用のリスクも低く、PXR誘起もない。ただし、hERGは740 nMと強力でQT延長のリスクをはらんでいる。オキサジアゾリンpKaは6.7であり、フェニルイミダゾールのpKa5.1より高い塩基性を有しているのが、hERGの要因かもしれない。さらに右側のフェニル置換基を変換して活性の向上させた25aを見出した。また、酸性溶液中での安定性はRにメタノール基を入れた5bでさらに向上した。pKaが5.8と塩基性が低下しており、分子内水素結合がヒドロキシアミジンを安定化して分解を防いでいると考えられる。オキサジアゾリンを環拡大したオキサジアジン53のpKaは7.4, 2.7で若干塩基性は高まっている。溶解度は優れているが、log Dは5.29と脂溶性が高い。2系統から代表化合物5a, 53はリードの2aの課題であったhERG阻害を解決し、PKを含め優れたプロファイルを示した。ビボでは5aでは10 mg / kgで脳内Aβ42を37%まで、53では 3 mg / kgで63%まで低下させ、極めて強力な薬効を確認した。

アミドのカルボニルのカルボニル不対電子の一つは不要→巻いたアミジンは不安定で塩基性が強い→酸素かませて安定化→単環は酸性溶液で不安定→2環と分子内水素結合で安定化→環拡大でp38Phase-IIの部分構造でドラッガブルな構造、とアイデアとナレッジが噛み合い、スタートの公知構造からうまく独自性ある化合物を引き出した。新規な環状アミジンからの変換も、物性プロファイルをケアしながら、その性質を明らかにした。アミドの等価体としての環状ヒドロキシアミジン、今後報告される「ドラッガブル・モチーフ」のコンセプトも興味深い。
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テーマ : 科学・医療・心理
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