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薬物設計に分子認識能を活用する

Diederich F. Structure-based drug design: exploring the proper filling of apolar pockets at enzyme active sites. The Journal of organic chemistry. 2008;73(12):4345-61. Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18510366.

酵素の疎水ポケットとリガンドとの相互作用を、分子認識(ホストゲスト化学)から導き出されたエンタルピー/エントロピー補償則を中心に紹介する。トロンビン阻害薬では、アミジンの塩基性がS1ポケットのアスパラギン酸との相互作用に重要で、トリプシンでは塩基性と活性とにそれほど相関がない事から、トロンビン阻害薬では、塩基性が活性と選択性に重要な役割を果たしているといえる。また、Dポケット部分に結合するシクロヘキサンとシクロペンタンでは阻害活性にそれほど差はないが、一方がエントロピー支配だが、もう一方はエンタルピー支配であり、ここに補償関係が成立している。芳香環にフッ素を導入した場合では、アミドのカルボニルとオルソゴナルな相互作用が認められる。フッ素は、一般に、高い電気陰性度を有する小さな原子で、電子的にポジティブな領域と相互作用すると考えられる。トロンビン阻害薬のDポケット部分のインドールとカチオンπ相互作用を狙って4級アンモニウムイオンをリガンドに導入した場合、カチオンの脱溶媒和のロスが大きすぎ、これをインドールとのカチオンπ相互作用では補償できない。一方で、ファクターXa阻害薬の場合、フェニルアラニン、チロシン、トリプタミンに囲まれた芳香環ボックスポケットを有する為に、多点カチオンπ相互作用によるゲインが大きく、強力な活性を示す。COMTではエンタルピーと塩基性、ハメットのσ値とに明確な相関はなく、リガンドに導入された脂溶性置換基によるポケットの脱溶媒和が重要と推定される。この時、単純にclogPと活性が相関しない事から脂溶性置換基のサイズも重要である事が理解できる。DMAPPのリガンド解析の結果からは、剛直な事前組織化された脂溶性ポケットには最適な脂溶性リガンドによって大きなエンタルピーのゲインが得られるが、フレキシブルなポケットの場合、この方針は機能しない。SBDDを検討する場合、水クラスターや水素結合ネットワークを切断するようなデザインにはエンタルピー的に大きなペナルティーを払う事になる。TGTのようにアスパラギン酸の水素結合ネットワークがある場合がこれに相当する。レベックジュニアのホストゲスト化学研究のエンタルピー/エントロピー補償則から、疎水性ポケットに結合するリガンド効率が最も良いのは、疎水性ポケットの55±9%をリガンドが占有する事と結論づけられる。これよりも占有率が低いとファンデルワールスコンタクトが不十分となりエンタルピーのゲインが低くなる。逆に、占有率がこれより高くなると、ファンデルワールスコンタクトは大きくなってエンタルピー的なゲインは大きいが、同時に蛋白とリガンドの動力学的な可動性が制限されて不利な複雑さのエントロピーを導き、これが先に得たエンタルピーを補償してしまう。
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