スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

化合物の美しさを定量的評価:ホプキンスの提案

Bickerton GR, Paolini GV, Besnard J, Muresan S, Hopkins AL. Quantifying the chemical beauty of drugs. Nature Chemistry. 2012;4(2):90-98.
Available at: http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nchem.1243


 ドラッグライクネスの指標にはリピンスキーのルール・オブ・ファイブ(Ro5)が最も有名で良く利用されている。しかし、逆説的ではあるが、分子量、脂溶性、水素結合数で規定されたリピンスキーの報告の後も、新規な薬理ターゲットの出現の為に、それに見合った化合物は分子量が大きく脂溶性の高い化合物となった。これらは、臨床開発に進んではドロップしたので、低分子医薬の生産性の落ちた要因がルール・オブ・ファイブの逸脱の為と考えられた。新規な薬理ターゲットの化合物であるのも関わらず、それらは旧来の医薬品から導きだされたルールの中で評価された。
 ルール・オブ・ファイブは、経口吸収性を予測する為の指標であるが,16%の医薬品はクライテリアの1つを逸脱、6%は2つ以上を逸脱している。アトルバスタチン(リピトール)やモンテルカスト(シングライル)はリピンスキー・ルールを1つ以上犯している。リピンスキー・ルールがガイドラインである事を強調されてはいるが、実際のところ、フィルターとしてルーチンで利用されており、逸脱するものを除外する為のルールとして扱われている。
 こういった問題に応える方法は、より精度の良いルールを定義づける事ではなく、ドラッグ・ライクネスを定量化させる方法を示す事であった。しかし、今日まで提案されたスコア化する方法は、マシン・ラーニングによるもので、直感的に理解しがたく、透明性もなく、Ro5のように使い勝手の良いものではなかった。この報告では、化合物の質を定量化する為に、ドラッグライクネスの指標としてデザイアビリティの概念を適用し、ドラッグライクネスの定量的推量値(QED)を設定した。QEDは0-1の範囲にあり、1に近い程ドラッグライクと判断できる。
 デザイアビリティは、複数のクライテリアを最適化するのにシンプルで強力な手法である。この手法は、化合物の選定、ライブラリー・デザイン、分子標的の優先順位付け、中枢移行性、スクリーニング・データの信頼性予測といった創薬全般に有効である。
 ここでは771種類の医薬品をデータ・セットに、分子量、脂溶性AlogP、水素結合ドナー・アクセプター数、回転結合数、芳香環枚数、構造的アラート数の8種類のパラメーターを採用する(Fig. 1)。これらのパラメーターをTable 1に示す値で重みづけをして最適化し、式(1)-(4)で定義した。ベンチマークとして、Ro5やダニエル・ベーベルのルールなどを利用して、QEDの信頼性を確認した(Fig. 2)。次にケミストの実際の目で見た化合物の良し悪しとの整合性をとった。17117化合物をアストラゼネカの79化学者から、Yes, Noの2択で判断を得た。全体の31.8%の化合物は最適化のリードとして魅力あり、と判断した。38.6%は複雑過ぎる、45.0%は単純過ぎる、と判断された。これらの判定とQEDの相関を確認した。また、QEDを使えば化合物情報からターゲット・クラスのドラッガビリティも順位づけできる(Table 2)。

筆者のアンドリュー・ホプキンスは、ドラッグライクネスとしてLE以来の指標の提案となる。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。