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Caco-2とMDRに乖離あり。Pgp阻害薬をブースターに脳内移行性獲得

Swahn B-M, Holenz J, Kihlström J, et al. Aminoimidazoles as BACE-1 Inhibitors: The Challenge to Achieve in vivo Brain Efficacy. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2012.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X12001126


BACE阻害薬としてジヒドロイソシトシン1から出発し、環を小さくしたアミノヒダントイン2から2環性のアミノイミダゾール3をデザインした。この骨格は、置換基Rでアミジンの物性を微調整できる点に特徴がある。最初にデザインした化合物10-13の中から活性は13でpIC50で7.65オーダーまで示したが、Caco-2膜透過性が<1.0 10-6 cm/sec以下と低い。中枢薬を目指すには、膜透過性は>10-6 cm/secが欲しい。PSAは57-79Åと許容範囲。膜透過性の低さの要因はpKa >8の塩基性の高さにあると考え、塩基性を低下させるようなR2にジフルオロ化するデザインで膜透過性を向上させる事とした。得られた化合物の多くは狙い通りCaco-2膜透過性が改善した(Table 2)。しかし、一部、Caco-2膜透過性が相変わらず低いものがあり、Pgp汲み出しの影響と考えられる。阻害活性と細胞系活性に相関があるのはpKa>6の化合物で、pKa<6になる化合物はアスパラギン酸の活性中心に相互作用する際にプロトネーションしてしまうので、細胞系活性が低下してしまうと考えられる。ピリジンを有する化合物14,15,20で実測もしくは計算でpKa<6と考えられ、化合物15,20はこれで説明できるが、14では阻害活性と細胞系活性で乖離がなく、その理由は良くわからない。ピリジンはジフルオロメトキシベンゼンに変換して活性は保持でき、細胞系活性との乖離を抑える事もできる。ビアリール体の中間体のブロモ体22で活性は弱いがCaco-2膜透過性が良い事にチャンスを見出し、ビアリールの脱却、アリール基の代わりにアルキンやアルコキシ基を検証し、(R)ー25で細胞系でも8.1乗と極めて強力、Caco-2膜透過性良く、Pgp基質にもならない事を確認した。X線結晶構造解析から、14ではピリジンがTrp76と水素結合していたが、23ではジフルオロメトキシ基がTrp76と水素結合に預かっていた(Fig. 2, 3)。代表化合物(R)-25はCaco-2膜透過性が良くPgp基質にならないにも関わらず、マウスでの脳内濃度/血中濃度は0.18と低い。Pgp/BCRP阻害薬のGF120918をブースターとして同時に投与したところ、脳内濃度/血中濃度は2.34まで大幅に改善した。Caco-2では脳内移行性の排出系を完全に説明する事はできないが、後にMDR1を検証した所、その排出比が19と大きく汲み出しがかかっている事が判明し、これが脳内移行性の低さに反映していると考えられた。Pgp/BCRP阻害薬のGF120918との同時投与で脳内Aβ40を17%低下できた。

大きく開いたアスパラギン酸プロテアーゼの阻害薬は、リガンド探索が困難な上、BACEのように脳内に移行させるという点で、極めて困難な課題である。
ここでは、

・物性調節を可能にする母核の探索→環サイズを小さくした上で2環性にホッピング
・塩基性が高いと膜透過性の低さは低い→フッ素の強力な電子吸引性を利用してアミジンの塩基性を低下
・セルフリーとセルベースアッセイの乖離→pKa6を境界にウォーヘッド部分のプロトネーションが影響と考えて塩基性を微調整
・ピリジンの水素結合能→ジフルオロメトキシ基フェニルは代替基になりうる
・Pgp基質性→モノアリール中間体でPgp基質にならない事に着眼し、ビアリール構造を脱却

が問題解決の鍵になっている。

脳内移行性の評価にはCaco-2よりMDRが精度が良いとされているが、ここではその2つの評価に如実に差が出ている好例でもある。
また、脳内移行性の低い化合物で中枢薬のPOCをとる時は、MDRノックアウト動物を利用できる事が報告されているが、ワイルド・タイプの動物でも、Pgp/BCRP阻害薬GF120918をブースターとして同時投与する手法が可能である点も参考にできる。血中に暴露させるのにHIV阻害薬ではCYP阻害薬のリトナビルをブースターに利用するのと同じ原理である。
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