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行き詰まり、回り道から突破口、240,000 nMから29 nMまでドラッグ・ライクに活性向上

Stachel SJ, Steele TG, Petrocchi A, et al. Discovery of Pyrrolidine-Based β-Secretase Inhibitors: Lead Advancement through Conformational Design for Maintenance of Ligand Binding Efficiency. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2011.
Available at: http://dx.doi.org/10.1016/j.bmcl.2011.11.024


 高濃度HTSから見出した新規なピロリジン誘導体阻害薬1は240 μMの活性を有し、最適化した3では活性は60倍向上の4μMまで向上したが、LEは0.19から0.17と増悪し、最適化の方向性が疑問視された。左側ビフェニルへの展開を避け、右側の変換に注力、モルホリンをピペリジンにした4で、活性は保持、ピロリジン環上に芳香環を入れていくと化合物6で活性は600 nM、LEは0.25に達した。
 改めて左側に着目し、化合物5のフェニル基上ブロモを除去した7で19 μMの活性を確認した。コンフォメーション固定化はエントロピーロスを防いで活性を向上させうるので、そのコンセプトでデザインした8で活性は4μMに向上、右側でデザインしたフェニルピペリジンをハイブリッドした9で活性は150 nMに向上、LEは0.28と効果的な最適化である事を確認。結晶からの考察の後、左側ベンゼン環上をブロモ・スキャン、パラ位の10で活性は倍増の70 nM、小さな脂溶性ポケットを埋めた効果が出ていると推察されるが、特筆すべき点はスピロ環構築前はブロモ基はオルト位がベストで、位置が変わった点である。また結晶からの考察では、右側ピペリジンはねじれボート型コンフォメーションをとっている。文献情報からも2ー置換ピペリジンアミドはA1,3ねじれ構造をとって2位が活性に不利なアキシャル配向をとりうる。このねじれ解消が活性向上の鍵になると考え、2位を変換、シクロヘキシルにした11で活性は24 nMにまで向上した。この化合物では細胞系活性は71倍シフトした1700 nMと弱い。細胞活性の乖離を低下させる為に結晶からネガティブな効果の予想されないスピロ環に縮環したベンゼン環をピリジンに変換、ブロモ基は反応性を落とす為にクロロ基に変換した12で活性は29 nM、LEは0.3、BACE2に対する選択性はないが、レニンやCatDに対して200倍以上の選択性を有しており、細胞系活性は19倍シフトした570 nMまで向上、ラット経口吸収性は44%した。最後にクロロ基をメチル基にした13で活性は36 nM、細胞系活性は3倍乖離の100 nMまで向上した。

結晶のとれるBACE阻害薬ではFBDDが主流の中、HTSから240,000 nMの極めて弱い化合物からLEを指標にリガンドベースの最適化で実に4桁向上した29 nMの活性を持ち、かつ経口吸収性のあるリガンド創出に成功した。元のヒットはサブミリオーダーの非常に弱い活性な上にフラグメントでないのでLEは0.19と低く、通常ならば最適化の対象にはならないが、分子サイズを大きくしないようにLEでリバレッジを効かせ、一度は活性向上したデザインを放棄し、新たな方向性を模索、その過程でモルホリンからピペリジンへシフト、スピロ環構築、ピペリジンコンフォメーション解析、ブロモ基転換、脂溶性低下と、終始エンピリカル・ドラッグデザインが貫徹されていた。
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