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マッチド・ペア解析の威力:オキサジアゾールの事例

Boström J, Hogner A, Llinàs A, Wellner E, Plowright AT. Oxadiazoles in Medicinal Chemistry. Journal of medicinal chemistry. 2012.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22185670

Müller K. The Power of MMPA and a Teaching Lesson in Medicinal Chemistry. Journal of Medicinal Chemistry. 2012:120215070804009.
Available at: http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jm300163y

 アミドやエステルの等価体として利用される1,2,4-オキサジアゾールおよび1,3,4-オキサジアゾールについて、アストラゼネカでのマッチド・ペア解析が報告された。実質的に全ての場合において、1,3,4-オキサジアゾールが1オーダーlogDが低く、代謝安定性、hERG阻害、水溶性に関しても優れていた。

 オキサジアゾールは、抗癌剤のジボテンタン1,嚢胞性線維症治療薬としてアタルレン2,HIV治療薬としてラルテグラビル3といった臨床開発後期に進んだ化合物にも利用され(Fig. 2)、686件の特許で利用、疾患領域は糖尿病、肥満、炎症、癌、感染症と幅広い。オキサジアゾールの利用頻度は、1,2,4-タイプと1,3,4-タイプが多く、1,2,5-タイプの利用頻度は低い(Fig. 1)。頻度の多い前者2つのマッチド・ペアはアストラゼネカ社内には770種類存在し、この中で公表可能な282化合物(中性253化合物、塩基性25化合物、酸性4化合物、類似度検索から25クラスター)による組合せは148種類存在した。また、GVKバイオのデータセットの中から、82化合物、16ターゲットタンパクが抽出できた。

脂溶性は化合物の質を決定づける。脂溶性は溶解度、経口吸収性、毒性、プロミスカスさに影響する。よって、ドラッグデザインでは、「脂溶性を低下させる」というのがマントラになっている。脂溶性の低下による物性の改善によって「ミー・トゥー」ドラッグが成功した事例が知られている。オキサジアゾールは、アミド等価体として、このデザインで機能しうる。1,2,4-タイプと1,3,4-タイプのlogDには非常に良い相関があり、1,3,4-タイプはΔClogP = 0.86脂溶性が低い(Fig. 6)。

溶解度は経口吸収性に影響し、薬効面で魅力があっても溶解度の悪い化合物は開発が止まる事もあり、溶解度に対する審査当局からの要求も高まっている。結晶系やプロドラッグ、塩検討といった方法が解決策になりうるが、化合物構造を変換して溶解度を改善するのが根本的な方法であり、「ミー・トゥー」アプローチの狙い目になる。よって、脂溶性のアスペクトと同様にオキサジアゾールをデザインに組み込む事が方法の一つになる。オキサジアゾール化合物には、脂溶性と溶解度には相関がなく(Fig. 7)、概ね溶解度が良い化合物が多い。特に、logD<2.0の極性領域に含まれる化合物は、溶解度の良い(-logD<4.5)l傾向にある。logD>2.0の脂溶性領域では、1,3,4-タイプが溶解度で優れている(Fig. 8)。Fig. 9に示す化合物17,18では、溶解度は16倍違う。

代謝安定性改善には脂溶性の低下、代謝部位のブロックといった手法がとられる。オキサジアゾールには脂溶性と代謝安定性に明確な相関は得られなかった。1,3,4-タイプは若干代謝安定性が良い傾向が掴めた(34ペアのうち半分以上の19ペアで優れている、Fig. 10)。実際のところ、オキサジアゾール自体が代謝を受ける前に別の置換基が先に代謝されている場合が多いのであるが、1,2,4-タイプの方が代謝を受けやすい結果となっている。CYP2C8以外CYPサブタイプの阻害がいずれも1,2,4-タイプが強く阻害している(Fig. 11)。一方でTDIに違いはない(Fig. 12)。よって、代謝安定性の違いは阻害よりも配位能に依存しているのかもしれない。

脂溶性はプロミスカスさとも関連している。たとえば、hERG阻害作用について、1,3,4-タイプは脂溶性が低い事が効いている為か、阻害作用も弱い(Table 4)。

ロッシュの研究者は、大規模で多様性ある化合物から、部分構造変換の特性を抜き出して解析するにはマッチド・ペアが有効である事を、アストラゼネカのオキサジアゾールの異性体の報告例で紹介する。
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